虎屋文庫:和菓子だより
桃花坊四方釜 大正〜昭和時代
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 18.0×18.0×18.0 (㎝) *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 「桃花坊四方釜(とうかぼうしほうがま)」は字のごとく四角い(四方)茶釜で、正面に「虎屋」、裏面に「桃花坊(※1)・銕斎(てっさい)書」と鋳(い)込まれています。文字は富岡鉄斎(1836~1924)の筆によるものです。鉄斎は近代の画壇を代表する日本画家の一人で、後半生の43年間、虎屋京都店の近くに居を構えていました。当時京都店の支配人をつとめていた黒川正弘(1880~1948)と深い親交があり、その縁で虎屋は鉄斎の作品を数多く所蔵しています。 釜の制作は、千家十職(※2)の釜師大西清右衛門(13代か)です。詳しい制作年代は不明ですが、鉄斎の勢いのある文字が釜に巧みに写されており、鋳型を作る際に下図の文字を内側から押す工程などを想像すると、その技と出来栄えの素晴らしさに驚かされます。 茶事を催すことを「釜を懸ける」というように、釜は茶道具の中でも重要なもの。虎屋では今でも、「鉄斎さんの四方釜」と呼び、大切にしています。 ※1 釜の銘「桃花坊」とは、平安京の頃の虎屋京都店付近を指す呼び名という。 ※2 茶道の家元好みの道具を作る、千家と縁の深い十種の職人の家柄。大西清右衛門(おおにしせいえもん)は釜を作る釜師である。 正面:虎屋 裏面:桃花坊 銕斎書
桃花坊四方釜 大正〜昭和時代
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 18.0×18.0×18.0 (㎝) *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 「桃花坊四方釜(とうかぼうしほうがま)」は字のごとく四角い(四方)茶釜で、正面に「虎屋」、裏面に「桃花坊(※1)・銕斎(てっさい)書」と鋳(い)込まれています。文字は富岡鉄斎(1836~1924)の筆によるものです。鉄斎は近代の画壇を代表する日本画家の一人で、後半生の43年間、虎屋京都店の近くに居を構えていました。当時京都店の支配人をつとめていた黒川正弘(1880~1948)と深い親交があり、その縁で虎屋は鉄斎の作品を数多く所蔵しています。 釜の制作は、千家十職(※2)の釜師大西清右衛門(13代か)です。詳しい制作年代は不明ですが、鉄斎の勢いのある文字が釜に巧みに写されており、鋳型を作る際に下図の文字を内側から押す工程などを想像すると、その技と出来栄えの素晴らしさに驚かされます。 茶事を催すことを「釜を懸ける」というように、釜は茶道具の中でも重要なもの。虎屋では今でも、「鉄斎さんの四方釜」と呼び、大切にしています。 ※1 釜の銘「桃花坊」とは、平安京の頃の虎屋京都店付近を指す呼び名という。 ※2 茶道の家元好みの道具を作る、千家と縁の深い十種の職人の家柄。大西清右衛門(おおにしせいえもん)は釜を作る釜師である。 正面:虎屋 裏面:桃花坊 銕斎書
愛知芸術文化センターでの講演会「和菓子の歴史とデザイン」のお知らせ
愛知県美術館展示室8で開催中の「木村定三 利休流無作法茶会」にちなみ、茶の湯の魅力を知る機会として、虎屋文庫の中山圭子が、和菓子の歴史や意匠についてお話しいたします。 開催日:2022年6月19日(日)13:30‐15:00 内 容:和菓子の歴史とデザイン 会 場:アートスペースA(愛知芸術文化センター12階) 定 員:先着90名 *申し込み不要、聴講無料です。 開始時刻に会場にお集まりください。 詳細については、今後の諸事情により、変更される場合もあります。 最新情報は愛知県美術館ウェブサイトをご覧ください。
愛知芸術文化センターでの講演会「和菓子の歴史とデザイン」のお知らせ
愛知県美術館展示室8で開催中の「木村定三 利休流無作法茶会」にちなみ、茶の湯の魅力を知る機会として、虎屋文庫の中山圭子が、和菓子の歴史や意匠についてお話しいたします。 開催日:2022年6月19日(日)13:30‐15:00 内 容:和菓子の歴史とデザイン 会 場:アートスペースA(愛知芸術文化センター12階) 定 員:先着90名 *申し込み不要、聴講無料です。 開始時刻に会場にお集まりください。 詳細については、今後の諸事情により、変更される場合もあります。 最新情報は愛知県美術館ウェブサイトをご覧ください。
菓子木型「八ツ橋」 宝永6年(1709)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 「八ツ橋」の木型(12.5㎝×19.5㎝)。桜の木で作られている。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 菓子木型は和菓子作りに欠かせない大切な道具のひとつです。特に干菓子は、木型によって精緻な意匠が表現されます。虎屋では現在使用しているものを含め、約3000点の菓子木型を所蔵していますが、今回はその中から「八ツ橋」(※)の型をご紹介します。通常、木型の多くは制作年が不詳ですが、「八ツ橋」の裏面には「宝永六年」と墨で書かれており、貴重な一例といえるでしょう。年紀のある虎屋の木型としては現存最古とされています。 「八ツ橋」木型の裏面。右上にうっすらと「宝永六年」と書かれている。 「一条とらや」とは現・京都一条店のことで、後年に焼印で付けられた。 直線的な橋と複雑な曲線を描く流水、そして伸びやかに天に向かって花咲く杜若(かきつばた)の意匠は、非常に美しく洗練されています。300年以上も前に作られたとは思えないほど精巧に彫られており、目を見張るものがあります。 拡大図 ※平安時代の『伊勢物語』に登場する和歌「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」に由来する。これは在原業平が、三河の国(現在の愛知県)八橋で杜若を前に妻を思って詠んだ歌で、菓子のほか美術工芸品の題材としてもしばしば用いられる。 大正7年(1918)「型物御菓子見本帖」にも描かれた。
菓子木型「八ツ橋」 宝永6年(1709)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 「八ツ橋」の木型(12.5㎝×19.5㎝)。桜の木で作られている。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 菓子木型は和菓子作りに欠かせない大切な道具のひとつです。特に干菓子は、木型によって精緻な意匠が表現されます。虎屋では現在使用しているものを含め、約3000点の菓子木型を所蔵していますが、今回はその中から「八ツ橋」(※)の型をご紹介します。通常、木型の多くは制作年が不詳ですが、「八ツ橋」の裏面には「宝永六年」と墨で書かれており、貴重な一例といえるでしょう。年紀のある虎屋の木型としては現存最古とされています。 「八ツ橋」木型の裏面。右上にうっすらと「宝永六年」と書かれている。 「一条とらや」とは現・京都一条店のことで、後年に焼印で付けられた。 直線的な橋と複雑な曲線を描く流水、そして伸びやかに天に向かって花咲く杜若(かきつばた)の意匠は、非常に美しく洗練されています。300年以上も前に作られたとは思えないほど精巧に彫られており、目を見張るものがあります。 拡大図 ※平安時代の『伊勢物語』に登場する和歌「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」に由来する。これは在原業平が、三河の国(現在の愛知県)八橋で杜若を前に妻を思って詠んだ歌で、菓子のほか美術工芸品の題材としてもしばしば用いられる。 大正7年(1918)「型物御菓子見本帖」にも描かれた。
『史料でみる 和菓子とくらし』の電子書籍が配信されました
3月14日付でご紹介した元虎屋文庫研究主幹 今村規子氏著『史料でみる 和菓子とくらし』(淡交社)の電子書籍が配信されました。https://www.book.tankosha.co.jp/shopdetail/000000001640/ 語彙の検索ができ、調べものにも便利です。 なお、一般書籍は書店や通販サイトで販売中です。赤坂店・京都一条店・一条店虎屋菓寮・京都四條南座店にてもお求めいただけます。
『史料でみる 和菓子とくらし』の電子書籍が配信されました
3月14日付でご紹介した元虎屋文庫研究主幹 今村規子氏著『史料でみる 和菓子とくらし』(淡交社)の電子書籍が配信されました。https://www.book.tankosha.co.jp/shopdetail/000000001640/ 語彙の検索ができ、調べものにも便利です。 なお、一般書籍は書店や通販サイトで販売中です。赤坂店・京都一条店・一条店虎屋菓寮・京都四條南座店にてもお求めいただけます。
新刊紹介 『史料でみる 和菓子とくらし』
元虎屋文庫研究主幹 今村規子氏が2020年に月刊誌『なごみ』(淡交社)に執筆していた連載が再編集され、虎屋文庫協力(画像提供ほか)で、一冊の本になりました。 錦絵や見本帳、茶会記、手紙など、さまざまな歴史史料から、和菓子と人々の生活との関わりを探っていく、親しみやすい内容です。 甘党の殿様の手紙、現存する江戸時代の菓子、菓子袋をかぶった猫の絵など、豊富なカラー図版とともに、奥深い和菓子の世界をお楽しみください。一般書籍として書店や通販サイトで販売されています。また、赤坂店・京都一条店・一条店虎屋菓寮・京都四條南座店にてもお求めいただけます。 『史料でみる 和菓子とくらし』今村規子/著 虎屋文庫/協力2022年3月9日発売 淡交社四六判 並製 192頁(カラー96頁)1,980円(税込)
新刊紹介 『史料でみる 和菓子とくらし』
元虎屋文庫研究主幹 今村規子氏が2020年に月刊誌『なごみ』(淡交社)に執筆していた連載が再編集され、虎屋文庫協力(画像提供ほか)で、一冊の本になりました。 錦絵や見本帳、茶会記、手紙など、さまざまな歴史史料から、和菓子と人々の生活との関わりを探っていく、親しみやすい内容です。 甘党の殿様の手紙、現存する江戸時代の菓子、菓子袋をかぶった猫の絵など、豊富なカラー図版とともに、奥深い和菓子の世界をお楽しみください。一般書籍として書店や通販サイトで販売されています。また、赤坂店・京都一条店・一条店虎屋菓寮・京都四條南座店にてもお求めいただけます。 『史料でみる 和菓子とくらし』今村規子/著 虎屋文庫/協力2022年3月9日発売 淡交社四六判 並製 192頁(カラー96頁)1,980円(税込)
『あじわい』誌の春号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』のコラム「和菓子探検」にて連載を行なっています。 今号は、雛祭につきものの菱餅に注目しました。下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。
『あじわい』誌の春号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』のコラム「和菓子探検」にて連載を行なっています。 今号は、雛祭につきものの菱餅に注目しました。下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。