虎屋文庫:和菓子だより
銀製雛道具 伝 江戸時代後期
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 銀製雛道具一揃 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 2020年の春に、虎屋のお雛様や雛道具をいくつか取り上げました。2022年の雛祭にあわせて、今回は「銀製雛道具」をご紹介します。虎屋の雛道具の特色は種類の豊富さにあります。主に黒漆塗りに金蒔絵で牡丹唐草を描いた「七澤屋もの」が中心です。揃いのものとしては純銀製も27件あり、いずれも江戸時代後期に上流階級で流行したといわれています。同様のものは陽明文庫(近衛家)、徳川記念財団(徳川将軍家)、鍋島報效会徴古館(佐賀藩鍋島家)、有馬記念館(久留米藩有馬家)等に伝来しています。虎屋のコレクションは定番の三棚や、化粧道具、旅道具、楽器類が揃い、特にサモワール(ロシア風卓上湯沸かし器)が珍しいといわれています。台紙ごと手の平にのる小ささで、表面には線刻により細かな模様が施されています。 サモワール 台紙:横4.6(㎝) 化粧道具 台紙:横5.9(㎝) なお、根津美術館刊行の図録『虎屋のおひなさま』(2020年)では展示作品全ての画像、作品の特徴や技巧の説明、雛に関する論考も掲載されています。同図録は、とらや店舗(赤坂店・東京ミッドタウン店)においても販売しています。
銀製雛道具 伝 江戸時代後期
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 銀製雛道具一揃 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 2020年の春に、虎屋のお雛様や雛道具をいくつか取り上げました。2022年の雛祭にあわせて、今回は「銀製雛道具」をご紹介します。虎屋の雛道具の特色は種類の豊富さにあります。主に黒漆塗りに金蒔絵で牡丹唐草を描いた「七澤屋もの」が中心です。揃いのものとしては純銀製も27件あり、いずれも江戸時代後期に上流階級で流行したといわれています。同様のものは陽明文庫(近衛家)、徳川記念財団(徳川将軍家)、鍋島報效会徴古館(佐賀藩鍋島家)、有馬記念館(久留米藩有馬家)等に伝来しています。虎屋のコレクションは定番の三棚や、化粧道具、旅道具、楽器類が揃い、特にサモワール(ロシア風卓上湯沸かし器)が珍しいといわれています。台紙ごと手の平にのる小ささで、表面には線刻により細かな模様が施されています。 サモワール 台紙:横4.6(㎝) 化粧道具 台紙:横5.9(㎝) なお、根津美術館刊行の図録『虎屋のおひなさま』(2020年)では展示作品全ての画像、作品の特徴や技巧の説明、雛に関する論考も掲載されています。同図録は、とらや店舗(赤坂店・東京ミッドタウン店)においても販売しています。
『勅題干支新年菓帖』昭和12年(1937)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 『勅題干支新年菓帖』のうち昭和時代前半に刊行されたものの一部。 左上から時計回りに、昭和2年(1927)、3年(1928)、4年(1929)、 6年(1931)、12年(1937)。 明治から昭和にかけて、趣向を凝らしたさまざまな菓子図案集が制作されました。『勅題干支新年菓帖』(ちょくだいえとしんねんがちょう)もその一つです。これは勅題(現「お題」)※1と干支をモチーフにした図案集で、藤澤萬華堂※2から発行されました。虎屋文庫では25冊を所蔵しています。 藤澤萬華堂と製菓実験社の共同著作で昭和12年に刊行された、第37号(上画像左下)を見ると、翌年の干支「寅」や勅題「神苑朝」をモチーフにした図案が、考案された地域(京都・大阪・東京)ごとにずらりと並んでいます。前半部はこうしたカラー図案、後半部は製法解説などから構成されました。 「京都之部」より。寅にちなんだ菓子が並ぶ。 「大阪之部」より。勅題や干支のほか、丹頂や松といった新年にふさわしい意匠もみられる。 洋菓子や洋風の和菓子も登場しており、それぞれどのような味わいなのか想像がふくらみます。図案集は主に菓子職人向けに制作されましたが、色彩豊かなページは見るだけでも楽しいものです。 「松竹梅」には「ジヤムを挟んだ」との記述が見られる。 「瑞雲」(ずいうん)には「ジヨナーズをバタークリーム仕上」との記述が見られる。 ジヨナーズとはスポンジ生地の一種であるジェノワーズのこと。 今日においても、年末年始には干支やお題にちなんださまざまな和菓子が作られています。令和4年(2022)の干支は寅、お題は「窓」。ぜひ和菓子とともに新年をお楽しみください。とらやと楽しむ寅年 ※1 毎年1月に宮中で催される「歌会始」(うたかいはじめ)では、決められたお題に対し、天皇や皇族方、一般の詠進者の歌が披露される。宮中歌会始と御題菓子 ※2 現在も京都で盛業されている版元。(現在は印刷・包装資材製造販売会社) 全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「和菓子探検」。新春号では『勅題干支新年菓帖』から大正時代に刊行された号を取り上げております。ぜひご一読ください。
『勅題干支新年菓帖』昭和12年(1937)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 『勅題干支新年菓帖』のうち昭和時代前半に刊行されたものの一部。 左上から時計回りに、昭和2年(1927)、3年(1928)、4年(1929)、 6年(1931)、12年(1937)。 明治から昭和にかけて、趣向を凝らしたさまざまな菓子図案集が制作されました。『勅題干支新年菓帖』(ちょくだいえとしんねんがちょう)もその一つです。これは勅題(現「お題」)※1と干支をモチーフにした図案集で、藤澤萬華堂※2から発行されました。虎屋文庫では25冊を所蔵しています。 藤澤萬華堂と製菓実験社の共同著作で昭和12年に刊行された、第37号(上画像左下)を見ると、翌年の干支「寅」や勅題「神苑朝」をモチーフにした図案が、考案された地域(京都・大阪・東京)ごとにずらりと並んでいます。前半部はこうしたカラー図案、後半部は製法解説などから構成されました。 「京都之部」より。寅にちなんだ菓子が並ぶ。 「大阪之部」より。勅題や干支のほか、丹頂や松といった新年にふさわしい意匠もみられる。 洋菓子や洋風の和菓子も登場しており、それぞれどのような味わいなのか想像がふくらみます。図案集は主に菓子職人向けに制作されましたが、色彩豊かなページは見るだけでも楽しいものです。 「松竹梅」には「ジヤムを挟んだ」との記述が見られる。 「瑞雲」(ずいうん)には「ジヨナーズをバタークリーム仕上」との記述が見られる。 ジヨナーズとはスポンジ生地の一種であるジェノワーズのこと。 今日においても、年末年始には干支やお題にちなんださまざまな和菓子が作られています。令和4年(2022)の干支は寅、お題は「窓」。ぜひ和菓子とともに新年をお楽しみください。とらやと楽しむ寅年 ※1 毎年1月に宮中で催される「歌会始」(うたかいはじめ)では、決められたお題に対し、天皇や皇族方、一般の詠進者の歌が披露される。宮中歌会始と御題菓子 ※2 現在も京都で盛業されている版元。(現在は印刷・包装資材製造販売会社) 全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「和菓子探検」。新春号では『勅題干支新年菓帖』から大正時代に刊行された号を取り上げております。ぜひご一読ください。
『あじわい』誌の新春号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にてコラム連載を行なっています。 今号より、「和菓子探検」と題した新連載となりました。 第1回は干支菓子に注目し、100年ほど前の菓子の図案集からたくさんの「虎」を紹介しています。下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。
『あじわい』誌の新春号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にてコラム連載を行なっています。 今号より、「和菓子探検」と題した新連載となりました。 第1回は干支菓子に注目し、100年ほど前の菓子の図案集からたくさんの「虎」を紹介しています。下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。
NHK「美の壺」スペシャルで和菓子が特集されます
11月20日(土)放送のNHK「美の壺」スペシャルで、「和菓子」が特集されます。テーマのひとつとして、四季の移ろいを表現する和菓子のデザインが取り上げられ、虎屋も協力しています。虎屋文庫の元禄8年(1695)の菓子見本帳も登場しますので、是非ご覧くださいませ。 放送日時 2021年11月20日(土) 午後18:00~19:30
NHK「美の壺」スペシャルで和菓子が特集されます
11月20日(土)放送のNHK「美の壺」スペシャルで、「和菓子」が特集されます。テーマのひとつとして、四季の移ろいを表現する和菓子のデザインが取り上げられ、虎屋も協力しています。虎屋文庫の元禄8年(1695)の菓子見本帳も登場しますので、是非ご覧くださいませ。 放送日時 2021年11月20日(土) 午後18:00~19:30
「掟書」 文化2年(1805)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。「掟書」は虎屋の店員としての規範が記されたものです。天正年間(1573~92)にまとめられた内容を文化2年(1805)に書き改めた文書が今に伝わっています。 内容を要約していくつかご紹介すると、「菓子の製造にあたっては常に清潔を心がけ、口や手などをたびたび洗うこと」、「禁裏(皇室)や公家などのお客様でも、一般のお客様でも丁寧に接すること」、「上の者でも仕事に抜け落ちがあった場合は遠慮なく注意しあうこと」などです。200年前の文書に、菓子屋が守るべきこととして、衛生面への配慮、お客様との接し方、店員同士のコミュニケーションというような、現代に通じる記述が見られることに驚きます。 全体の要訳は社史『虎屋の五世紀』で読むことができます。「第1部 前近代の虎屋 第4章 江戸時代後期の虎屋」 P.56~
「掟書」 文化2年(1805)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。「掟書」は虎屋の店員としての規範が記されたものです。天正年間(1573~92)にまとめられた内容を文化2年(1805)に書き改めた文書が今に伝わっています。 内容を要約していくつかご紹介すると、「菓子の製造にあたっては常に清潔を心がけ、口や手などをたびたび洗うこと」、「禁裏(皇室)や公家などのお客様でも、一般のお客様でも丁寧に接すること」、「上の者でも仕事に抜け落ちがあった場合は遠慮なく注意しあうこと」などです。200年前の文書に、菓子屋が守るべきこととして、衛生面への配慮、お客様との接し方、店員同士のコミュニケーションというような、現代に通じる記述が見られることに驚きます。 全体の要訳は社史『虎屋の五世紀』で読むことができます。「第1部 前近代の虎屋 第4章 江戸時代後期の虎屋」 P.56~
『あじわい』誌の秋号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。今回は、江戸時代に作られた、菓子に関わる番付をご紹介しています。 下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/
『あじわい』誌の秋号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。今回は、江戸時代に作られた、菓子に関わる番付をご紹介しています。 下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/