虎屋文庫:和菓子だより
「墨龍図」富岡鉄斎筆 大正13年(1924)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 紙本墨画 134.0×33.0 虎屋文庫は本年、開設50周年を迎えました。そこで今回は、昭和48年(1973)開催の第1回虎屋文庫資料展「富岡鉄斎と虎屋」で展示した「墨龍図(ぼくりゅうず)」をご紹介します。 第1回虎屋文庫資料展「富岡鉄斎と虎屋」展示風景 富岡鉄斎(1836〜1924)は近代の画壇を代表する日本画家の一人で、後半生の43年間、虎屋京都店の近くに居を構えていました。当時京都店の支配人をつとめていた黒川正弘(1880~1948)と深い親交があったことから、虎屋では、数多くの作品を所蔵しています。 「墨龍図」は躍動感ある龍を墨一色で描いた、最晩年の作。「一筆に硯(すずり)の海を飛出でて、雲居に昇る龍ぞあやしき」という自作の和歌を添えています。 大正13年の大晦日に89歳(数え)で逝去した鉄斎は、その秋頃から、作品に「九十翁」の落款(らっかん=印のこと)を用い、はやく90歳に達したいと願っていました。墨跡の瑞々しさからもその気概が感じられるようです。 落款
「墨龍図」富岡鉄斎筆 大正13年(1924)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 紙本墨画 134.0×33.0 虎屋文庫は本年、開設50周年を迎えました。そこで今回は、昭和48年(1973)開催の第1回虎屋文庫資料展「富岡鉄斎と虎屋」で展示した「墨龍図(ぼくりゅうず)」をご紹介します。 第1回虎屋文庫資料展「富岡鉄斎と虎屋」展示風景 富岡鉄斎(1836〜1924)は近代の画壇を代表する日本画家の一人で、後半生の43年間、虎屋京都店の近くに居を構えていました。当時京都店の支配人をつとめていた黒川正弘(1880~1948)と深い親交があったことから、虎屋では、数多くの作品を所蔵しています。 「墨龍図」は躍動感ある龍を墨一色で描いた、最晩年の作。「一筆に硯(すずり)の海を飛出でて、雲居に昇る龍ぞあやしき」という自作の和歌を添えています。 大正13年の大晦日に89歳(数え)で逝去した鉄斎は、その秋頃から、作品に「九十翁」の落款(らっかん=印のこと)を用い、はやく90歳に達したいと願っていました。墨跡の瑞々しさからもその気概が感じられるようです。 落款
便利堂コロタイプギャラリーで羊羹「夜の梅」を用いた写真作品が展示されます
羊羹 「夜の梅」撮影:桑嶋維 協力:久保田美簾堂制作:株式会社 便利堂 コロタイプ※の写真作品「羊羹「夜の梅」」が、京都の便利堂コロタイプギャラリーの「桑嶋維《朱殷 : 日本に在る色/Shuan: The Color of Japan》」展にて展示されます。作品は、谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』の中で述べた、羊羹の持つ「陰翳の美」の表現を試みたもので、2019年の虎屋 京都ギャラリー企画展「知られざる複製の実力 コロタイプと文化財」展の際に制作されました。 ※ 世界最古の写真印画技法で、写真からゼラチンを使った版を製作し、版画のように刷り出す技術。「連続諧調」と呼ばれる滑らかな表現で、墨の濃淡や日本画の繊細な筆致も余すところなく再現できる。 桑嶋維《朱殷 : 日本に在る色/Shuan: The Color of Japan》展会 期:2023年4月14日(金)~6月4日(日) 会期中無休会 場:便利堂コロタイプギャラリー(株式会社便利堂京都本社1階) 〒604-0093京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町302時 間:10:00~17:00 ただし、12:00~13:00は休廊 入場無料 お問い合わせは株式会社便利堂(代表:075-231-4351)までお願いします。 株式会社便利堂公式HP www.benrido.co.jp
便利堂コロタイプギャラリーで羊羹「夜の梅」を用いた写真作品が展示されます
羊羹 「夜の梅」撮影:桑嶋維 協力:久保田美簾堂制作:株式会社 便利堂 コロタイプ※の写真作品「羊羹「夜の梅」」が、京都の便利堂コロタイプギャラリーの「桑嶋維《朱殷 : 日本に在る色/Shuan: The Color of Japan》」展にて展示されます。作品は、谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』の中で述べた、羊羹の持つ「陰翳の美」の表現を試みたもので、2019年の虎屋 京都ギャラリー企画展「知られざる複製の実力 コロタイプと文化財」展の際に制作されました。 ※ 世界最古の写真印画技法で、写真からゼラチンを使った版を製作し、版画のように刷り出す技術。「連続諧調」と呼ばれる滑らかな表現で、墨の濃淡や日本画の繊細な筆致も余すところなく再現できる。 桑嶋維《朱殷 : 日本に在る色/Shuan: The Color of Japan》展会 期:2023年4月14日(金)~6月4日(日) 会期中無休会 場:便利堂コロタイプギャラリー(株式会社便利堂京都本社1階) 〒604-0093京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町302時 間:10:00~17:00 ただし、12:00~13:00は休廊 入場無料 お問い合わせは株式会社便利堂(代表:075-231-4351)までお願いします。 株式会社便利堂公式HP www.benrido.co.jp
文京区立小石川図書館での講演会「和菓子を愛した「文の京」の人たち」のお知らせ
4月13日の啄木忌に関連した講演会「和菓子を愛した「文の京」の人たち」にて、虎屋文庫の所 加奈代が、文京区ゆかりの文豪と菓子についてお話しします。 開催日:2023年4月16日(日) 14:00~15:30 会 場:文京区立小石川図書館 4階 ホール 参加費:無料 定 員:先着40名(事前申込制) お問合わせ先:文京区立小石川図書館(03-3814-6745) 申し込み方法など、詳しくはこちらをご覧ください。
文京区立小石川図書館での講演会「和菓子を愛した「文の京」の人たち」のお知らせ
4月13日の啄木忌に関連した講演会「和菓子を愛した「文の京」の人たち」にて、虎屋文庫の所 加奈代が、文京区ゆかりの文豪と菓子についてお話しします。 開催日:2023年4月16日(日) 14:00~15:30 会 場:文京区立小石川図書館 4階 ホール 参加費:無料 定 員:先着40名(事前申込制) お問合わせ先:文京区立小石川図書館(03-3814-6745) 申し込み方法など、詳しくはこちらをご覧ください。
外務省の海外発信サイト「Discuss Japan」に和菓子の記事が掲載されました
味の素食の文化センター編集・発行の『vesta』第128号に掲載された、虎屋文庫主席研究員、中山圭子「和菓子文化の華-17世紀にさかのぼる上菓子の特徴」が英訳され、外務省の海外発信サイトに公開されました。 上生菓子の原形ともいえる上菓子(じょうがし)のデザインの特徴、日本文化との関わりについてまとめたもので、和菓子の魅力を海外の方に紹介する折などに、参考にしていただければ幸いです。 URLhttps://www.japanpolicyforum.jp/culture/pt2023032011403713009.html https://www.japanpolicyforum.jp/ facebookhttps://www.facebook.com/DiscussJapan/posts/pfbid02MTFRgqyZCXSLCPu6WBaMtH6higjkt8Nz9NZvcLdjLxMPaQuR12JB9tC8Ly7ez4Agl twitterhttps://twitter.com/Discuss_Japan/status/1637645657455603714
外務省の海外発信サイト「Discuss Japan」に和菓子の記事が掲載されました
味の素食の文化センター編集・発行の『vesta』第128号に掲載された、虎屋文庫主席研究員、中山圭子「和菓子文化の華-17世紀にさかのぼる上菓子の特徴」が英訳され、外務省の海外発信サイトに公開されました。 上生菓子の原形ともいえる上菓子(じょうがし)のデザインの特徴、日本文化との関わりについてまとめたもので、和菓子の魅力を海外の方に紹介する折などに、参考にしていただければ幸いです。 URLhttps://www.japanpolicyforum.jp/culture/pt2023032011403713009.html https://www.japanpolicyforum.jp/ facebookhttps://www.facebook.com/DiscussJapan/posts/pfbid02MTFRgqyZCXSLCPu6WBaMtH6higjkt8Nz9NZvcLdjLxMPaQuR12JB9tC8Ly7ez4Agl twitterhttps://twitter.com/Discuss_Japan/status/1637645657455603714
院御所様行幸之御菓子通 寛永12年(1635)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 「院御所様行幸之御菓子通」(表紙)※*画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 寛永12年(1635)「院御所様行幸之御菓子通(いんのごしょさまぎょうこうのおかしかよい)」は、虎屋に現存する最も古い御用記録。寛永12年9月明正(めいしょう)天皇が、父君である後水尾(ごみずのお)上皇の御所へ行幸された5日間のご注文をまとめたものです。内容を見てみると、まず圧倒されるのが、大饅頭2500個、薄皮饅頭1475個、羊羹538棹、高麗煎餅200枚など、お納めした数の多さ。行幸がいかに盛大であったかが想像されます。菓子は「夜の梅」「山路の菊」といった優雅な銘をもつものはまだ見られず、上記のような饅頭や羊羹など素朴なものが中心です。また、カステラ、カルメラのような南蛮菓子や昆布が登場するのも目を引きます。菓子はどのように使われたのでしょうか。残念ながら史料にはその点触れられていませんが、きっと楽しく召しあがっていただけたことでしょう。※表紙は後筆。なお、『和菓子』9号に「院御所様行幸之御菓子通」の全文翻刻を掲載しております。 9月16日の御用 うすかはまん(薄皮饅)、やうかん(羊羹)、あるへいたう(有平糖)などのほか、杉やうし(杉楊枝)、ふちたかやうし(縁高楊枝)も納めていることがわかる。
院御所様行幸之御菓子通 寛永12年(1635)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 「院御所様行幸之御菓子通」(表紙)※*画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 寛永12年(1635)「院御所様行幸之御菓子通(いんのごしょさまぎょうこうのおかしかよい)」は、虎屋に現存する最も古い御用記録。寛永12年9月明正(めいしょう)天皇が、父君である後水尾(ごみずのお)上皇の御所へ行幸された5日間のご注文をまとめたものです。内容を見てみると、まず圧倒されるのが、大饅頭2500個、薄皮饅頭1475個、羊羹538棹、高麗煎餅200枚など、お納めした数の多さ。行幸がいかに盛大であったかが想像されます。菓子は「夜の梅」「山路の菊」といった優雅な銘をもつものはまだ見られず、上記のような饅頭や羊羹など素朴なものが中心です。また、カステラ、カルメラのような南蛮菓子や昆布が登場するのも目を引きます。菓子はどのように使われたのでしょうか。残念ながら史料にはその点触れられていませんが、きっと楽しく召しあがっていただけたことでしょう。※表紙は後筆。なお、『和菓子』9号に「院御所様行幸之御菓子通」の全文翻刻を掲載しております。 9月16日の御用 うすかはまん(薄皮饅)、やうかん(羊羹)、あるへいたう(有平糖)などのほか、杉やうし(杉楊枝)、ふちたかやうし(縁高楊枝)も納めていることがわかる。
『あじわい』誌の春号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にコラム「和菓子探検」を連載しております。今回はきんとんに注目し、その意外な歴史を探りました。また、江戸時代のさまざまな見本帳に描かれたきんとんや、現在のきんとん(鶴屋𠮷信様、三友堂様、とらや)から、店や作り手によってそぼろの付け方に個性があることをご紹介しています。下記よりご覧いただけますので、どうぞご一読ください。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。
『あじわい』誌の春号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にコラム「和菓子探検」を連載しております。今回はきんとんに注目し、その意外な歴史を探りました。また、江戸時代のさまざまな見本帳に描かれたきんとんや、現在のきんとん(鶴屋𠮷信様、三友堂様、とらや)から、店や作り手によってそぼろの付け方に個性があることをご紹介しています。下記よりご覧いただけますので、どうぞご一読ください。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。