虎屋文庫:和菓子だより

河鍋暁斎筆「四季風景五月幟図」明治時代
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 絹本着色(118.0×40.1㎝・本紙寸法)(無断使用を禁じます) 今回は、河鍋暁斎(かわなべきょうさい・1831〜89)の「四季風景五月幟図(しきふうけいさつきのぼりず)」をご紹介します。 暁斎は、下総国古河(現・茨城県古河市)に生まれ、2歳の時に家族とともに江戸に出たのち、7歳で絵を学びはじめます。幕末から明治時代前半の江戸・東京において、狩野派絵師として活躍しますが、浮世絵や風刺画なども手掛け、日本のみならず海外でも高い評価を得ました。 「四季風景五月幟図」では、茅葺屋根の家の鯉のぼりが空高く舞い上がっています。遠景の富士山に、鯉のぼりの尾がかかっている構図が、絶妙といえるでしょう。また、青々とした水田と黄金色の稲田、雪化粧をした富士山を同画面に描くことで、一幅で夏から冬までの季節の移ろいを表しています。端午にあわせ、菖蒲を使ったくす玉や、鎧兜、金太郎、鍾馗(しょうき・中国で疫病神を追いはらうという神)、鷹の飾り物といった設えも細かく描かれており、大変楽しい作品です。 くす玉と、鎧兜、金太郎、鍾馗、鷹の飾り物 この作品は、2024年5月19日(日)まで、虎屋 京都ギャラリーにて展示しております。実物を近くで見ることが出来る貴重な機会ですので、お近くにいらした際は、是非ご来場くださいませ。 虎屋 京都ギャラリー 虎屋所蔵品展「水のいきもの」
河鍋暁斎筆「四季風景五月幟図」明治時代
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 絹本着色(118.0×40.1㎝・本紙寸法)(無断使用を禁じます) 今回は、河鍋暁斎(かわなべきょうさい・1831〜89)の「四季風景五月幟図(しきふうけいさつきのぼりず)」をご紹介します。 暁斎は、下総国古河(現・茨城県古河市)に生まれ、2歳の時に家族とともに江戸に出たのち、7歳で絵を学びはじめます。幕末から明治時代前半の江戸・東京において、狩野派絵師として活躍しますが、浮世絵や風刺画なども手掛け、日本のみならず海外でも高い評価を得ました。 「四季風景五月幟図」では、茅葺屋根の家の鯉のぼりが空高く舞い上がっています。遠景の富士山に、鯉のぼりの尾がかかっている構図が、絶妙といえるでしょう。また、青々とした水田と黄金色の稲田、雪化粧をした富士山を同画面に描くことで、一幅で夏から冬までの季節の移ろいを表しています。端午にあわせ、菖蒲を使ったくす玉や、鎧兜、金太郎、鍾馗(しょうき・中国で疫病神を追いはらうという神)、鷹の飾り物といった設えも細かく描かれており、大変楽しい作品です。 くす玉と、鎧兜、金太郎、鍾馗、鷹の飾り物 この作品は、2024年5月19日(日)まで、虎屋 京都ギャラリーにて展示しております。実物を近くで見ることが出来る貴重な機会ですので、お近くにいらした際は、是非ご来場くださいませ。 虎屋 京都ギャラリー 虎屋所蔵品展「水のいきもの」
5/18、三溪園で現代美術作家・永田哲也氏と虎屋文庫・中山圭子のトークショーが開催されます
5月17日(金)から19日(日)、横浜の三溪園にて、「型・形・カタ」をテーマに工芸やアート、素材・技法も様々なつくり手が集い、お客様と交流を深めあえる展示会、「種手 -shutté-」第一回 企画展が開催されます。 プログラムの一つとして、菓子木型を使った作品で知られる永田哲也氏と虎屋文庫の中山圭子による、現代アートや落雁(押物)についてのトークショーが開催されます。 トークショー 「現代アートへの昇華・時代を超えて愛される和菓子の美」開催日:2024年5月18日(土) 14:00~15:30 (開場は13:30を予定)講 師:永田哲也氏(現代美術作家)・中山圭子(虎屋文庫主席研究員) 会 場:三溪園(旧燈明寺本堂) 永田氏の作品が展示されます。 参加費:2,000円(とらやの押物(干菓子)のお土産付)※三溪園入園料900円が別途必要(種手 -shutté-インスタグラムの画面掲示で割引あり)定 員:35名(予約制)申込方法:和菓紙三昧(永田哲也氏ホームページ)より申し込みください。※おかげさまで定員に達しました。主催・お問い合わせ:種手 -shutté-
5/18、三溪園で現代美術作家・永田哲也氏と虎屋文庫・中山圭子のトークショーが開催されます
5月17日(金)から19日(日)、横浜の三溪園にて、「型・形・カタ」をテーマに工芸やアート、素材・技法も様々なつくり手が集い、お客様と交流を深めあえる展示会、「種手 -shutté-」第一回 企画展が開催されます。 プログラムの一つとして、菓子木型を使った作品で知られる永田哲也氏と虎屋文庫の中山圭子による、現代アートや落雁(押物)についてのトークショーが開催されます。 トークショー 「現代アートへの昇華・時代を超えて愛される和菓子の美」開催日:2024年5月18日(土) 14:00~15:30 (開場は13:30を予定)講 師:永田哲也氏(現代美術作家)・中山圭子(虎屋文庫主席研究員) 会 場:三溪園(旧燈明寺本堂) 永田氏の作品が展示されます。 参加費:2,000円(とらやの押物(干菓子)のお土産付)※三溪園入園料900円が別途必要(種手 -shutté-インスタグラムの画面掲示で割引あり)定 員:35名(予約制)申込方法:和菓紙三昧(永田哲也氏ホームページ)より申し込みください。※おかげさまで定員に達しました。主催・お問い合わせ:種手 -shutté-
東京国立博物館での講座「英語で楽しむ 和菓子の魅力」のお知らせ
For English, click here. 2024年1月に東京国立博物館の総合文化展・本館4室「茶の美術」の展示室がリニューアルしたことに関連して、外国の方にも広く和菓子の魅力を知っていただくために、和菓子の紹介ビデオ(英語版:虎屋制作、約25分)を上映します。 日英逐次通訳を付けた解説を虎屋文庫の中山圭子・島田萌が行います。開催日:2024年2月8日(木) 13:30~14:30会場:東京国立博物館 平成館 大講堂 参加費:無料(ただし、当日の入館料が必要) 定員:380名(当日受付) お問い合わせ先:東京国立博物館 教育講座室(03-3822-1111(代))詳しくはこちらをご覧ください。
東京国立博物館での講座「英語で楽しむ 和菓子の魅力」のお知らせ
For English, click here. 2024年1月に東京国立博物館の総合文化展・本館4室「茶の美術」の展示室がリニューアルしたことに関連して、外国の方にも広く和菓子の魅力を知っていただくために、和菓子の紹介ビデオ(英語版:虎屋制作、約25分)を上映します。 日英逐次通訳を付けた解説を虎屋文庫の中山圭子・島田萌が行います。開催日:2024年2月8日(木) 13:30~14:30会場:東京国立博物館 平成館 大講堂 参加費:無料(ただし、当日の入館料が必要) 定員:380名(当日受付) お問い合わせ先:東京国立博物館 教育講座室(03-3822-1111(代))詳しくはこちらをご覧ください。

菓子屋番付「東都繁栄京御菓子司」 江戸時代後期以降
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 東都繁栄京御菓子司(37.5×26.0cm)拡大画像(無断使用を禁じます) 番付(ばんづけ)とは、大相撲における順位表で、力士を東西に分け、階級順に名前を書き連ねたものです。そこから転じて、寺社仏閣や祭り、温泉、職人などさまざまなものを題材にした「見立番付」が、江戸時代後期から近代にかけて盛んに作られました。本史料は江戸の菓子屋の番付です。番付は格付けをするスタイルが一般的ですが、これは「甲乙不撰次第不同御用捨」とあり、店の優劣はつけず、有名店を並べたもののようです。 通常、勧進元(かんじんもと・興行主催者)の名前が書かれる中央下段には、金沢丹後、鈴木越後、越後屋播磨と大書されており、この3店が別格であることがうかがえます。「蒸物」「団子」といった菓子の種類ごとに区切りがありますが、「牡丹餅」の欄に浅草の金龍山餅(きんりゅうざんもち)、両国の幾世餅(いくよもち)、隅田川の桜餅などが並んでいるのは、餡を使った餅菓子というくくりなのでしょうか。 残念ながら、今はなくなってしまった店や菓子ばかりですが、じっくり眺めると面白い史料です。 このほかにもさまざまな菓子屋の番付が作られ、現在に伝わっています。国立科学博物館で開催中の特別展「和食」では、菓子屋番付「東都流行御菓子繁昌競鑑」がご覧いただけます(~2024年2月25日)。
菓子屋番付「東都繁栄京御菓子司」 江戸時代後期以降
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 東都繁栄京御菓子司(37.5×26.0cm)拡大画像(無断使用を禁じます) 番付(ばんづけ)とは、大相撲における順位表で、力士を東西に分け、階級順に名前を書き連ねたものです。そこから転じて、寺社仏閣や祭り、温泉、職人などさまざまなものを題材にした「見立番付」が、江戸時代後期から近代にかけて盛んに作られました。本史料は江戸の菓子屋の番付です。番付は格付けをするスタイルが一般的ですが、これは「甲乙不撰次第不同御用捨」とあり、店の優劣はつけず、有名店を並べたもののようです。 通常、勧進元(かんじんもと・興行主催者)の名前が書かれる中央下段には、金沢丹後、鈴木越後、越後屋播磨と大書されており、この3店が別格であることがうかがえます。「蒸物」「団子」といった菓子の種類ごとに区切りがありますが、「牡丹餅」の欄に浅草の金龍山餅(きんりゅうざんもち)、両国の幾世餅(いくよもち)、隅田川の桜餅などが並んでいるのは、餡を使った餅菓子というくくりなのでしょうか。 残念ながら、今はなくなってしまった店や菓子ばかりですが、じっくり眺めると面白い史料です。 このほかにもさまざまな菓子屋の番付が作られ、現在に伝わっています。国立科学博物館で開催中の特別展「和食」では、菓子屋番付「東都流行御菓子繁昌競鑑」がご覧いただけます(~2024年2月25日)。

『あじわい』誌の新年号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にコラム「和菓子探検」を連載しております。今回は「世界を魅了!金花糖(きんかとう)とその仲間たち」と題して、日本の金花糖ほか、メキシコやイタリアのシチリア島、中国の砂糖菓子を紹介しました。 世界各地に残る金花糖に注目しました。下記からご覧いただけますので、どうぞご一読ください。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。
『あじわい』誌の新年号に寄稿しています
虎屋文庫のスタッフが、全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にコラム「和菓子探検」を連載しております。今回は「世界を魅了!金花糖(きんかとう)とその仲間たち」と題して、日本の金花糖ほか、メキシコやイタリアのシチリア島、中国の砂糖菓子を紹介しました。 世界各地に残る金花糖に注目しました。下記からご覧いただけますので、どうぞご一読ください。 https://www.ajiwai.or.jp/ *令和3年(2021)秋まで15回にわたって同誌で連載した「資料に見る和菓子」のバックナンバーもこちらよりご覧いただけます。