虎屋文庫:和菓子だより
雛井籠 安永5年(1776)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 11.0×13.3×18.3(cm) 撮影:轟近夫氏 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。江戸時代に作られた、雛菓子用の小ぶりな井籠(せいろう)。中に直径1.5cm程度の小さな菓子を詰め、宮中などへお納めしていました。現在では実物こそ使用しませんが、雛祭りの季節には、これを模した紙箱に菓子を詰めて販売しています。 実は、商品を入れる手提げ袋も、この雛井籠のデザインを取り入れたもの。昭和45年(1970)に、金属造型作家の永井鐵太郎(ながいてつたろう・1936~2021)氏※が制作して以来、若干の変更が加えられながらも受け継がれ、虎屋の顔ともなっています。 ※日展の評議員を務め、平成4年(1992)に日本芸術院賞を受賞。作家活動の傍ら、東京藝術大学在学中の昭和34年(1959)より虎屋に勤務し、パッケージ、店頭装飾などを手掛けた。 実は、手提げ袋の裏(底)にも、井籠をもとにしたデザインである旨記載しています。お手にされた際には是非ご覧ください。
雛井籠 安永5年(1776)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 11.0×13.3×18.3(cm) 撮影:轟近夫氏 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。江戸時代に作られた、雛菓子用の小ぶりな井籠(せいろう)。中に直径1.5cm程度の小さな菓子を詰め、宮中などへお納めしていました。現在では実物こそ使用しませんが、雛祭りの季節には、これを模した紙箱に菓子を詰めて販売しています。 実は、商品を入れる手提げ袋も、この雛井籠のデザインを取り入れたもの。昭和45年(1970)に、金属造型作家の永井鐵太郎(ながいてつたろう・1936~2021)氏※が制作して以来、若干の変更が加えられながらも受け継がれ、虎屋の顔ともなっています。 ※日展の評議員を務め、平成4年(1992)に日本芸術院賞を受賞。作家活動の傍ら、東京藝術大学在学中の昭和34年(1959)より虎屋に勤務し、パッケージ、店頭装飾などを手掛けた。 実は、手提げ袋の裏(底)にも、井籠をもとにしたデザインである旨記載しています。お手にされた際には是非ご覧ください。
羊羹和尚登場 !
今回はかす寺(カステラ)の住職、羊羹和尚をご紹介します。江戸時代の漫画ともいえる、黄表紙の『名代干菓子山殿』(めいだいひがしやまどの・1778年)に描かれる人物で、頭の上の黒いものが羊羹! なんとこの黄表紙の登場人物は全部菓子で、頭に菓子をのせています。あらすじは、主君の干菓子山殿※の秘蔵の茶碗を奪われた小落雁が、恋人松風と茶碗探しの旅に出るというもの。羊羹和尚の出番はわずか2回で、干菓子でもないのになぜか登場する脇役ですが、その姿は一目見たら忘れられません。描いたのは美人画で有名な鳥居清長。和尚の風貌もなかなか味がありますね。もっとよくご覧になりたい方は下記リンク先をどうぞ。 ※干菓子山殿は、東山殿(室町時代の八代将軍足利義政)にかけている。 国会図書館デジタルコレクション『名代干菓子山殿』 参考 第56回 江戸おもしろお菓子展 国立国会図書館蔵
羊羹和尚登場 !
今回はかす寺(カステラ)の住職、羊羹和尚をご紹介します。江戸時代の漫画ともいえる、黄表紙の『名代干菓子山殿』(めいだいひがしやまどの・1778年)に描かれる人物で、頭の上の黒いものが羊羹! なんとこの黄表紙の登場人物は全部菓子で、頭に菓子をのせています。あらすじは、主君の干菓子山殿※の秘蔵の茶碗を奪われた小落雁が、恋人松風と茶碗探しの旅に出るというもの。羊羹和尚の出番はわずか2回で、干菓子でもないのになぜか登場する脇役ですが、その姿は一目見たら忘れられません。描いたのは美人画で有名な鳥居清長。和尚の風貌もなかなか味がありますね。もっとよくご覧になりたい方は下記リンク先をどうぞ。 ※干菓子山殿は、東山殿(室町時代の八代将軍足利義政)にかけている。 国会図書館デジタルコレクション『名代干菓子山殿』 参考 第56回 江戸おもしろお菓子展 国立国会図書館蔵
『あじの花』 幕末~明治時代頃
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 大坂の菓子屋「高岡福信」作成と考えられる見本帳(デザイン帳)です。274点の菓子の意匠と銘が記録されています。 江戸時代以降、各地の菓子屋ではこうした帳面を作り、注文を受ける際に顧客に見せたり、店の覚えとして使ったりしていました。手描きが多いなか、『あじの花』は版本という点で珍しく、顧客に配ったものと思われます。どの頁にも、さまざまな色かたちの華やかな菓子が並んでおり、単なる商品カタログとしてだけでなく、眺めて楽しむ趣味本としての側面もあったのではと想像させられます。 表紙
『あじの花』 幕末~明治時代頃
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 大坂の菓子屋「高岡福信」作成と考えられる見本帳(デザイン帳)です。274点の菓子の意匠と銘が記録されています。 江戸時代以降、各地の菓子屋ではこうした帳面を作り、注文を受ける際に顧客に見せたり、店の覚えとして使ったりしていました。手描きが多いなか、『あじの花』は版本という点で珍しく、顧客に配ったものと思われます。どの頁にも、さまざまな色かたちの華やかな菓子が並んでおり、単なる商品カタログとしてだけでなく、眺めて楽しむ趣味本としての側面もあったのではと想像させられます。 表紙
羊羹のような音
Beethoven Symphonie Nr.5 c-moll op.67 Viola パート譜から 一部写譜 「(ウッ)タタタダァーン」有名なベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の冒頭。「最後の伸ばす音は、羊羹のような音で下さい!」と指揮者から指示が飛ぶ。 この指示は「羊羹のように最後まで詰まった音」。つまり「音が尻すぼみにならない、デクレッシェンドしない、最後まで音量を維持する」ということを意味しています。楽器や歌を習ったことのある方の中には、ロングトーン(ある一定の音を均一に長く出す)の練習などで、一度は耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。 現在は日本だけでしか通用しない表現ですが、羊羹が世界に広がり、味わってもらえれば、ウィーン・フィルやベルリン・フィルでも「羊羹のような音」が通用する時が来るかもしれません。 Bitte spielen Sie mit dem Ton wie ein Yokan. (羊羹のような音で演奏して下さい)
羊羹のような音
Beethoven Symphonie Nr.5 c-moll op.67 Viola パート譜から 一部写譜 「(ウッ)タタタダァーン」有名なベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の冒頭。「最後の伸ばす音は、羊羹のような音で下さい!」と指揮者から指示が飛ぶ。 この指示は「羊羹のように最後まで詰まった音」。つまり「音が尻すぼみにならない、デクレッシェンドしない、最後まで音量を維持する」ということを意味しています。楽器や歌を習ったことのある方の中には、ロングトーン(ある一定の音を均一に長く出す)の練習などで、一度は耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。 現在は日本だけでしか通用しない表現ですが、羊羹が世界に広がり、味わってもらえれば、ウィーン・フィルやベルリン・フィルでも「羊羹のような音」が通用する時が来るかもしれません。 Bitte spielen Sie mit dem Ton wie ein Yokan. (羊羹のような音で演奏して下さい)
『あじわい』誌の冬号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。第4回のテーマは「菓子袋」です。江戸~明治期にかけて作られた、美しい絵入りの菓子袋をご紹介しています。 下記からもご覧いただけますので、是非ご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/index.html
『あじわい』誌の冬号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。第4回のテーマは「菓子袋」です。江戸~明治期にかけて作られた、美しい絵入りの菓子袋をご紹介しています。 下記からもご覧いただけますので、是非ご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/index.html
『缶詰羊羹』の缶 昭和28~35年(1953~60)頃の使用品
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 15.0×6.5×4.5(cm) 撮影:小山雄司郎氏 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 とらやでは、明治時代(1868~1912)末期から昭和43年(1968)頃まで、缶詰入の羊羹を製造していました。密閉性が高く、海外への輸出用に使われたほか、戦時中には戦地慰問用に、戦後は国内で通常商品としても親しまれました。ご記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんね。コンビーフ缶のように、鍵で缶の一部を帯状に巻き取って開けるタイプでした。 巻き取り鍵 内容量(450g)が表示されている。 側面の穴は充填口。
『缶詰羊羹』の缶 昭和28~35年(1953~60)頃の使用品
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 15.0×6.5×4.5(cm) 撮影:小山雄司郎氏 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 とらやでは、明治時代(1868~1912)末期から昭和43年(1968)頃まで、缶詰入の羊羹を製造していました。密閉性が高く、海外への輸出用に使われたほか、戦時中には戦地慰問用に、戦後は国内で通常商品としても親しまれました。ご記憶にある方もいらっしゃるかもしれませんね。コンビーフ缶のように、鍵で缶の一部を帯状に巻き取って開けるタイプでした。 巻き取り鍵 内容量(450g)が表示されている。 側面の穴は充填口。