虎屋文庫:和菓子だより
『あじわい』誌の秋号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。今回のテーマは、ボンボニエールです。明治時代以降、皇室で引き出物として用いられてきた、小さく美しい菓子器に注目しました。 下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/wagashi/index.html
『あじわい』誌の秋号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。今回のテーマは、ボンボニエールです。明治時代以降、皇室で引き出物として用いられてきた、小さく美しい菓子器に注目しました。 下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/wagashi/index.html
豆沙糕はどんな味?
豆沙糕 水戸藩藩主の徳川光圀(とくがわみつくに1628~1700)が、中国人の儒学者、朱舜水(しゅしゅんすい)から受けたもてなしの記録に「豆沙糕(ヤウカン)」という食べ物が出てきます。見慣れている「羊羹」とは字が異なりますが、当時日本で作られていた蒸羊羹と似ていたため「ヤウカン」の字をあてたのでしょう。 年代は下りますが、中国の料理を集めた『卓子式(しっぽくしき)』(1784)にも、「豆沙糕」が紹介されています。原材料は、小豆1升(1.8ℓ)、砂糖200匁(750g)、葛粉とうるち米の粉1合ずつ(180㏄)。作り方は書かれていなかったので、現在知られる蒸羊羹の製法※で試してみました。 米の粉が入っているせいでしょうか、蒸羊羹というよりは外郎に近い食感で、なかなか美味でした。 ※ 餡、小麦粉、葛粉、水などを混ぜ合わせて流し箱に入れ、蒸し上げるのが一般的な製法である。 注釈 参考文献 『朱氏談綺』1708年 『卓子式』(『日本料理秘伝集成』第13巻 同朋舎 1985年)
豆沙糕はどんな味?
豆沙糕 水戸藩藩主の徳川光圀(とくがわみつくに1628~1700)が、中国人の儒学者、朱舜水(しゅしゅんすい)から受けたもてなしの記録に「豆沙糕(ヤウカン)」という食べ物が出てきます。見慣れている「羊羹」とは字が異なりますが、当時日本で作られていた蒸羊羹と似ていたため「ヤウカン」の字をあてたのでしょう。 年代は下りますが、中国の料理を集めた『卓子式(しっぽくしき)』(1784)にも、「豆沙糕」が紹介されています。原材料は、小豆1升(1.8ℓ)、砂糖200匁(750g)、葛粉とうるち米の粉1合ずつ(180㏄)。作り方は書かれていなかったので、現在知られる蒸羊羹の製法※で試してみました。 米の粉が入っているせいでしょうか、蒸羊羹というよりは外郎に近い食感で、なかなか美味でした。 ※ 餡、小麦粉、葛粉、水などを混ぜ合わせて流し箱に入れ、蒸し上げるのが一般的な製法である。 注釈 参考文献 『朱氏談綺』1708年 『卓子式』(『日本料理秘伝集成』第13巻 同朋舎 1985年)
豊原国周「流行豊年唄」明治11年(1878)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 左が大漁役、右が豊年役。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 初代市川左團次(左)と五代尾上菊五郎(右)は、九代市川団十郎とともに「団菊左」と並び称され、明治歌舞伎の黄金時代を築いた人物です。菓子のおこしを山盛りにした盤台(浅く大きなたらい)を頭に載せ、踊る様子が描かれていますが、この所作事のもとになったのは、当時市中で評判を呼んだ、二人組のおこし売りでした。一人が大漁を、一人が豊年をイメージさせる派手な格好で、歌って踊りながら売り歩くのが特徴で、「豊年」「大漁」などのおめでたい歌詞や、「いつちくたつちく」といった不思議な唄い文句で大流行しました。重そうな盤台を、頭の上でバランスをとりながら踊る様子は曲芸のようで、見る人を楽しませたことでしょう。このスタイルはのちによかよか飴売りなどに引き継がれ、現在も、茨城県常総市(石下飴屋踊り)をはじめとする一部地域で伝統芸能として親しまれています。 盤台にぶら下がっているのは菓子袋。
豊原国周「流行豊年唄」明治11年(1878)
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 左が大漁役、右が豊年役。 *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 初代市川左團次(左)と五代尾上菊五郎(右)は、九代市川団十郎とともに「団菊左」と並び称され、明治歌舞伎の黄金時代を築いた人物です。菓子のおこしを山盛りにした盤台(浅く大きなたらい)を頭に載せ、踊る様子が描かれていますが、この所作事のもとになったのは、当時市中で評判を呼んだ、二人組のおこし売りでした。一人が大漁を、一人が豊年をイメージさせる派手な格好で、歌って踊りながら売り歩くのが特徴で、「豊年」「大漁」などのおめでたい歌詞や、「いつちくたつちく」といった不思議な唄い文句で大流行しました。重そうな盤台を、頭の上でバランスをとりながら踊る様子は曲芸のようで、見る人を楽しませたことでしょう。このスタイルはのちによかよか飴売りなどに引き継がれ、現在も、茨城県常総市(石下飴屋踊り)をはじめとする一部地域で伝統芸能として親しまれています。 盤台にぶら下がっているのは菓子袋。
『あじわい』誌の夏号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。今回のテーマは、貼り込み帳(スクラップブック)です。江戸時代末から大正時代までの菓子の商標や栞の数々をご紹介します。 下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/wagashi/index.html 上記記事で菓子の拓本をご紹介していますが、本ホームページ内、歴史上の人物と和菓子の山中共古の記事も合わせてご覧いただければ幸いです。
『あじわい』誌の夏号に寄稿しています
全国銘産菓子工業協同組合発行『あじわい』にて連載中の「資料に見る和菓子」。今回のテーマは、貼り込み帳(スクラップブック)です。江戸時代末から大正時代までの菓子の商標や栞の数々をご紹介します。 下記からご覧いただけますので、ぜひご一読くださいませ。 http://www.ajiwai.or.jp/wagashi/index.html 上記記事で菓子の拓本をご紹介していますが、本ホームページ内、歴史上の人物と和菓子の山中共古の記事も合わせてご覧いただければ幸いです。
虎屋文庫(Toraya Bunko - Toraya Archives)の活動を紹介する短編ド...
慶應義塾大学アート・センターの「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクト※の一環として、虎屋文庫の活動を紹介する短編ドキュメンタリー映画が制作されました。 監督は阿部 理沙氏、上映時間は9分ほどで、アーカイブ業務を中心にまとめていただきました。スタッフおすすめの虎屋資料も紹介されていますので、ぜひご覧ください。 日本語(Japanese)英 語(English) 監督 阿部 理沙(映画監督。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒。映画・テレビ・CMなど幅広い映像演出を手掛ける。) キャスト(2019年当時) 虎屋文庫 文庫長 丸山 良 虎屋文庫 スタッフ 所 加奈代、森田 環、小野 未稀、河上 可央理、 今村 規子、中山 圭子 ※「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクトとは 上記アート・センターを核とする、地域文化資源の連携、国際発信、人材育成をめざすプロジェクト。文化庁の助成を得て、自治体とも協働しながら、港区の様々な文化機関の活動をウェブサイト・マガジンなどで紹介していくものです。
虎屋文庫(Toraya Bunko - Toraya Archives)の活動を紹介する短編ド...
慶應義塾大学アート・センターの「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクト※の一環として、虎屋文庫の活動を紹介する短編ドキュメンタリー映画が制作されました。 監督は阿部 理沙氏、上映時間は9分ほどで、アーカイブ業務を中心にまとめていただきました。スタッフおすすめの虎屋資料も紹介されていますので、ぜひご覧ください。 日本語(Japanese)英 語(English) 監督 阿部 理沙(映画監督。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒。映画・テレビ・CMなど幅広い映像演出を手掛ける。) キャスト(2019年当時) 虎屋文庫 文庫長 丸山 良 虎屋文庫 スタッフ 所 加奈代、森田 環、小野 未稀、河上 可央理、 今村 規子、中山 圭子 ※「都市のカルチュラル・ナラティヴ」プロジェクトとは 上記アート・センターを核とする、地域文化資源の連携、国際発信、人材育成をめざすプロジェクト。文化庁の助成を得て、自治体とも協働しながら、港区の様々な文化機関の活動をウェブサイト・マガジンなどで紹介していくものです。
羊羹は男性?
ドイツ語の名詞には文法上の性があり、男性名詞、女性名詞、中性名詞の3つに分類されています。 名詞の前には名詞の性に合わせた定冠詞(英語のThe)をつけて覚えます。「父」は男性名詞で「der Vater(デア ファーター)」。「母」は女性名詞で「die Mutter(ディ- ムッタ-)」。このように性がハッキリしていれば覚えやすいのですが、例えば「子供」は中性名詞で「das Kind(ダス キント)」。若干の法則性はあるものの、結局、ドイツ語の名詞は定冠詞とともに性を覚えなければなりません。 ある和独辞書で「ようかん」を引いてみると、「der Yokan」と男性名詞になっています。何故、男性名詞なのでしょう。外来語や地名は中性名詞になるケースが多いようですが、実は厳密なルールがあるわけではなく、語尾の音韻や類似の意味で判断されることもあります。「Yokan」は語尾の「kan」が硬そうな音だから男性名詞になったとか? ちなみに「最中」は「die Monaka」で女性名詞。この和独辞書の編者、もしかしたら甘い物好きで、羊羹や最中を食べながら、その歯ざわりで、硬い羊羹は男性。柔らかい最中は女性と性を決めたのかもしれません。 羊羹(男性名詞)、最中(女性名詞)の格変化表 (ドイツ語発音付き)1格(主格)~は der Yokan(デア ヨーカン) die Monaka(ディー モナーカ)2格(属格)~の des Yokan(デス ヨーカン) der Monaka(デア モナーカ)3格(与格)~に dem Yokan(デム ヨーカン) der...
羊羹は男性?
ドイツ語の名詞には文法上の性があり、男性名詞、女性名詞、中性名詞の3つに分類されています。 名詞の前には名詞の性に合わせた定冠詞(英語のThe)をつけて覚えます。「父」は男性名詞で「der Vater(デア ファーター)」。「母」は女性名詞で「die Mutter(ディ- ムッタ-)」。このように性がハッキリしていれば覚えやすいのですが、例えば「子供」は中性名詞で「das Kind(ダス キント)」。若干の法則性はあるものの、結局、ドイツ語の名詞は定冠詞とともに性を覚えなければなりません。 ある和独辞書で「ようかん」を引いてみると、「der Yokan」と男性名詞になっています。何故、男性名詞なのでしょう。外来語や地名は中性名詞になるケースが多いようですが、実は厳密なルールがあるわけではなく、語尾の音韻や類似の意味で判断されることもあります。「Yokan」は語尾の「kan」が硬そうな音だから男性名詞になったとか? ちなみに「最中」は「die Monaka」で女性名詞。この和独辞書の編者、もしかしたら甘い物好きで、羊羹や最中を食べながら、その歯ざわりで、硬い羊羹は男性。柔らかい最中は女性と性を決めたのかもしれません。 羊羹(男性名詞)、最中(女性名詞)の格変化表 (ドイツ語発音付き)1格(主格)~は der Yokan(デア ヨーカン) die Monaka(ディー モナーカ)2格(属格)~の des Yokan(デス ヨーカン) der Monaka(デア モナーカ)3格(与格)~に dem Yokan(デム ヨーカン) der...