虎屋文庫:和菓子だより
「古典の日」ホームページ連載「古典の日絵巻」8月号で羊羹を紹介しました。
今回の「古典の日絵巻」のテーマは、狂言の「文蔵」と羊羹です。下記からご覧くださいませ。 古典の日「古典の日絵巻」 *11月1日は古典の日。源氏物語千年紀を記念して、2008年に京都で宣言されました。古典の日推進委員会によるホームページには、古典に広く親しんでもらえるよう、文学・音楽・美術・演劇・伝統芸能などに関わる様々な活動が紹介されています。連載の一つとして、4月より「古典の日絵巻 第九巻 古典作品で楽しむ和菓子」がはじまりました(執筆・虎屋文庫 中山圭子)。毎月1日に更新で、1年間続きます。 *裏千家淡交会会報誌『淡交タイムス』2015年1~12月号(4月号除く)に掲載した記事をもとにしています。
「古典の日」ホームページ連載「古典の日絵巻」8月号で羊羹を紹介しました。
今回の「古典の日絵巻」のテーマは、狂言の「文蔵」と羊羹です。下記からご覧くださいませ。 古典の日「古典の日絵巻」 *11月1日は古典の日。源氏物語千年紀を記念して、2008年に京都で宣言されました。古典の日推進委員会によるホームページには、古典に広く親しんでもらえるよう、文学・音楽・美術・演劇・伝統芸能などに関わる様々な活動が紹介されています。連載の一つとして、4月より「古典の日絵巻 第九巻 古典作品で楽しむ和菓子」がはじまりました(執筆・虎屋文庫 中山圭子)。毎月1日に更新で、1年間続きます。 *裏千家淡交会会報誌『淡交タイムス』2015年1~12月号(4月号除く)に掲載した記事をもとにしています。
魅力を探る 琥珀製「若葉蔭」
琥珀製『若葉蔭』 販売中~7月31日迄 季節をうつす和菓子。朝顔やひまわりといった夏の意匠が店頭に並んでいますが、なかでも目をひくのは金魚の菓子ではないでしょうか。近年の金魚ブームもあって、和洋問わず金魚の菓子をしばしば目にしますが、虎屋の「若葉蔭」は大正7年(1918)の見本帳に見える歴史ある菓子※です。透明な生地は、寒天と砂糖を煮溶かして固めたもので、琥珀製(こはくせい)と呼ばれます。なかの金魚は小さな木型を使って作っており、模様や表情が一匹ずつ異なるのが楽しいところ。うろこまで細かく再現されているので、ぜひよくご覧ください。 大正7年(1918)「黒川光保新菓雛形」 なお、金魚の菓子は、夏目漱石の『門』(1910)にも登場します。「一丁の豆腐位な大きさの金玉糖の中に、金魚が二疋透いて見える」。金玉糖(きんぎょくとう)とは、琥珀製の別名で、「若葉蔭」と同趣向の菓子が想像されます。甘党で知られる漱石なので、実際にこうした菓子を目にし、気に入ったので作品に登場させたのではないでしょうか。 ※ 明治37年(1904)、明治天皇が渋沢栄一に、虎屋製の、寒天に金魚の細工物を浮かべた菓子を見舞いとして贈ったとの逸話もある。
魅力を探る 琥珀製「若葉蔭」
琥珀製『若葉蔭』 販売中~7月31日迄 季節をうつす和菓子。朝顔やひまわりといった夏の意匠が店頭に並んでいますが、なかでも目をひくのは金魚の菓子ではないでしょうか。近年の金魚ブームもあって、和洋問わず金魚の菓子をしばしば目にしますが、虎屋の「若葉蔭」は大正7年(1918)の見本帳に見える歴史ある菓子※です。透明な生地は、寒天と砂糖を煮溶かして固めたもので、琥珀製(こはくせい)と呼ばれます。なかの金魚は小さな木型を使って作っており、模様や表情が一匹ずつ異なるのが楽しいところ。うろこまで細かく再現されているので、ぜひよくご覧ください。 大正7年(1918)「黒川光保新菓雛形」 なお、金魚の菓子は、夏目漱石の『門』(1910)にも登場します。「一丁の豆腐位な大きさの金玉糖の中に、金魚が二疋透いて見える」。金玉糖(きんぎょくとう)とは、琥珀製の別名で、「若葉蔭」と同趣向の菓子が想像されます。甘党で知られる漱石なので、実際にこうした菓子を目にし、気に入ったので作品に登場させたのではないでしょうか。 ※ 明治37年(1904)、明治天皇が渋沢栄一に、虎屋製の、寒天に金魚の細工物を浮かべた菓子を見舞いとして贈ったとの逸話もある。
虎屋文庫の書籍『ようかん』の重版と新潮社Webマガジン「考える人」掲載のお知らせ
羊羹の謎めいた歴史や奥深い魅力をテーマにした『ようかん』は、昨年10月30日に刊行。お蔭様で、新聞・雑誌の書評やラジオ番組で紹介されるなど、ご好評をいただき、このたび重版となりました。 これにあわせ、新潮社Webマガジン「考える人」に、虎屋文庫へのインタビュー形式で、羊羹についての記事が掲載されました。 大河ドラマ『麒麟がくる』に関連して、戦国武将がもてなしに使った羊羹の記録を中心に、意外なエピソードをご紹介していますので、ぜひお楽しみくださいませ。 なお、『ようかん』の本は一般書店ほか、下記とらや直営店でも販売しております。 赤坂店・東京ミッドタウン店(2020年7月22日現在)
虎屋文庫の書籍『ようかん』の重版と新潮社Webマガジン「考える人」掲載のお知らせ
羊羹の謎めいた歴史や奥深い魅力をテーマにした『ようかん』は、昨年10月30日に刊行。お蔭様で、新聞・雑誌の書評やラジオ番組で紹介されるなど、ご好評をいただき、このたび重版となりました。 これにあわせ、新潮社Webマガジン「考える人」に、虎屋文庫へのインタビュー形式で、羊羹についての記事が掲載されました。 大河ドラマ『麒麟がくる』に関連して、戦国武将がもてなしに使った羊羹の記録を中心に、意外なエピソードをご紹介していますので、ぜひお楽しみくださいませ。 なお、『ようかん』の本は一般書店ほか、下記とらや直営店でも販売しております。 赤坂店・東京ミッドタウン店(2020年7月22日現在)
資料紹介 「かわいい羊羹」広告
*画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 小形羊羹は90年前に売り出された時 から、長い間2本入りの箱が定番でしたが、実は、途中で一度、現在のような1本売りをしたことがあります。写真は昭和38年(1963)7月5日『東京新聞』の広告です。「かわいい羊羹」のコピーが斬新ですね。「夜の梅」「おもかげ」「新緑」「空の旅」に加えて、この時に発売されたのが珈琲入りの羊羹 。戦時中、止まっていた珈琲の輸入量が増えはじめた時期でした。 1本売りは時代の先取りのし過ぎだったのか、2年ほどで2本入りに戻り、現在のデザインとなった平成20年(2008)まで続きました。珈琲羊羹は、その際に定番から外れ、現在では期間限定商品となっています。コロンビア産コーヒーの香り豊かな羊羹、見かけられましたら是非一度お試しください。
資料紹介 「かわいい羊羹」広告
*画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 小形羊羹は90年前に売り出された時 から、長い間2本入りの箱が定番でしたが、実は、途中で一度、現在のような1本売りをしたことがあります。写真は昭和38年(1963)7月5日『東京新聞』の広告です。「かわいい羊羹」のコピーが斬新ですね。「夜の梅」「おもかげ」「新緑」「空の旅」に加えて、この時に発売されたのが珈琲入りの羊羹 。戦時中、止まっていた珈琲の輸入量が増えはじめた時期でした。 1本売りは時代の先取りのし過ぎだったのか、2年ほどで2本入りに戻り、現在のデザインとなった平成20年(2008)まで続きました。珈琲羊羹は、その際に定番から外れ、現在では期間限定商品となっています。コロンビア産コーヒーの香り豊かな羊羹、見かけられましたら是非一度お試しください。
おいしい浮世絵展に、弊社所蔵の「十二月の内 小春 初雪」「三ツ會姫ひゐな遊ひノ圖」が展示されます
「おいしい浮世絵展 ~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~」 会 期:2020年7月15日(水)~9月13日(日)※虎屋文庫の錦絵2点は前期(7月15日~8月13日)のみ。 休館日:8月14日(金) 開館時間:10:00~20:00※7月21日(火)・7月28日(火)・7月30日(木)・8月28日(金)は 17時閉館※入館は閉館の30分前まで 会 場:森アーツセンターギャラリー(港区六本木) 入場料:一般1,800円、大学生・高校生1,300円、中学生・小学生800円※混雑緩和のため、日時指定制が導入されています。 食をテーマに浮世絵の魅力に迫る展覧会です。虎屋文庫からは、江戸の焼き芋屋が描かれた「十二月の内 小春 初雪」(三代歌川豊国)、雛祭りの風景の一部として菱餅が見える「三ツ會姫ひゐな遊ひノ圖」(同前)を出陳しています。 詳しくは展覧会公式ホームページをご覧ください。 お問い合わせは03-5777-8600(ハローダイヤル)までお願いいたします。
おいしい浮世絵展に、弊社所蔵の「十二月の内 小春 初雪」「三ツ會姫ひゐな遊ひノ圖」が展示されます
「おいしい浮世絵展 ~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~」 会 期:2020年7月15日(水)~9月13日(日)※虎屋文庫の錦絵2点は前期(7月15日~8月13日)のみ。 休館日:8月14日(金) 開館時間:10:00~20:00※7月21日(火)・7月28日(火)・7月30日(木)・8月28日(金)は 17時閉館※入館は閉館の30分前まで 会 場:森アーツセンターギャラリー(港区六本木) 入場料:一般1,800円、大学生・高校生1,300円、中学生・小学生800円※混雑緩和のため、日時指定制が導入されています。 食をテーマに浮世絵の魅力に迫る展覧会です。虎屋文庫からは、江戸の焼き芋屋が描かれた「十二月の内 小春 初雪」(三代歌川豊国)、雛祭りの風景の一部として菱餅が見える「三ツ會姫ひゐな遊ひノ圖」(同前)を出陳しています。 詳しくは展覧会公式ホームページをご覧ください。 お問い合わせは03-5777-8600(ハローダイヤル)までお願いいたします。
ゴルフ最中のパッケージ 大正15年(1926)~戦前
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 左上から時計回りに、大正15(1926)~昭和6年(1931)、昭和6~9年、昭和9~戦前まで使われていたデザイン。初代はゴルフボールという名称だったが、のちにホールインワンになった。(撮影:小山雄司郎氏) *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 「GOLF BALL」や「HOLE IN ONE」と横文字で書かれたパッケージ。これらのモダンなデザインが、すべて今から80年以上前に考案されたとは驚きではないでしょうか。ゴルフ最中が発売されたのは大正15年(1926)。当時ゴルフは限られた階層の人々にしか馴染みのないハイカラなスポーツだったので、それをモチーフにした菓子を販売することについて、社内外から反対の声もあったといいます。そのためパッケージは、なるべく派手でないようにと苦心したそう。洗練されたデザインは、現代の私たちが見ても魅力的です。 ※誕生秘話は「歴史上の人物と和菓子」の『岩崎小彌太とゴルフ最中』参照。 現在の ゴルフ最中『ホールインワン』
ゴルフ最中のパッケージ 大正15年(1926)~戦前
菓子資料室 虎屋文庫では虎屋歴代の古文書や古器物に加え、菓子に関わるさまざまな資料を所蔵しています。このコーナーでは、その一部をご紹介していきます。 左上から時計回りに、大正15(1926)~昭和6年(1931)、昭和6~9年、昭和9~戦前まで使われていたデザイン。初代はゴルフボールという名称だったが、のちにホールインワンになった。(撮影:小山雄司郎氏) *画像をご使用になりたい方は虎屋文庫までご連絡くださいませ。 「GOLF BALL」や「HOLE IN ONE」と横文字で書かれたパッケージ。これらのモダンなデザインが、すべて今から80年以上前に考案されたとは驚きではないでしょうか。ゴルフ最中が発売されたのは大正15年(1926)。当時ゴルフは限られた階層の人々にしか馴染みのないハイカラなスポーツだったので、それをモチーフにした菓子を販売することについて、社内外から反対の声もあったといいます。そのためパッケージは、なるべく派手でないようにと苦心したそう。洗練されたデザインは、現代の私たちが見ても魅力的です。 ※誕生秘話は「歴史上の人物と和菓子」の『岩崎小彌太とゴルフ最中』参照。 現在の ゴルフ最中『ホールインワン』