虎屋文庫:資料展
第82回 包む・彩る・伝える「虎屋のパッケージ」展
10/1更新 展示の内容をまとめた小冊子のデータを公開いたしました。こちらからご覧いただけます。*無断転載を禁じます。 羊羹の竹皮包みは江戸時代から。モダンなデザインのゴルフ最中の箱は大正生まれで、虎を描いた手提げ袋は昭和の高度経済成長期に考案されました。色や形の工夫によって菓子の魅力を伝えてきた虎屋のパッケージ、およそ150点を一挙にご紹介します。 1、ゴルフボールの箱に見える? ゴルフ最中のパッケージ ゴルフボールを模したゴルフ最中は、三菱財閥総帥、岩﨑小彌太(いわさきこやた)の夫人からの注文がきっかけで大正15年(1926)に発売。パッケージも、ゴルフボールの箱のように作られました。今回は初代の箱から現在のものまで展示します。戦前はアールデコ風、戦後はシンプルな配色に直線的なデザインなど、時代に合わせ変化していった様子がわかります。 ゴルフ最中 2、南極にも旅をした、丈夫な缶詰羊羹 昭和20年代から40年代前半に販売した缶詰羊羹は、店頭販売のほか、日系人が多く住む海外にも輸出されました。さらに、丈夫で長期保存ができる缶の特性から、南極観測隊にも寄贈されました。会場では、実際に南極に旅をした缶詰羊羹を展示します。今も変わらないその姿を、どうぞご覧ください。 缶詰羊羹 3、干菓子のパッケージは夢の新素材 昭和43年(1968)発売の干菓子「推古」の箱は、当時最先端の素材として知られたプラスチック製。新しい菓子に合わせて新素材を取り入れたのでしょう。蓋のデザインには、菓子の意匠となった法隆寺(ほうりゅうじ)金堂の高欄(こうらん)の模様、「卍(まんじ)くずし」を取り入れており、ジュエリーケースを思わせるような美しさです。 4、昔も今も…… 虎の手提げ袋 虎を描いた手提げ袋は、虎屋の安永5年(1776)の雛井籠をもとに金属工芸作家の永井鐵太郎(ながいてつたろう)氏(1936~2021)がデザイン。昭和45年(1970)より使用を開始しました。黄色の虎から金色の虎に変えるなど、調整をしつつ現在に至ります。会場では、歴代の手提げ袋と、デザインのもととなった雛井籠を展示します。 手提げ袋 〈概要〉会期 2024年10月1日(火)~11月24日(日)休館日:10月6日(日)、11月6日(水)開館時間 10:00~17:00料金 入場無料場 所 虎屋 赤坂ギャラリー (とらや 赤坂店 地下1階)〒107-8401 東京都港区赤坂4-9-22 〈展示解説〉10月14日(月・祝)、10月28日(月)、11月4日(月・祝)、11月18日(月)*10:15 ~ 当日1回のみ開催(予約不要)
第82回 包む・彩る・伝える「虎屋のパッケージ」展
10/1更新 展示の内容をまとめた小冊子のデータを公開いたしました。こちらからご覧いただけます。*無断転載を禁じます。 羊羹の竹皮包みは江戸時代から。モダンなデザインのゴルフ最中の箱は大正生まれで、虎を描いた手提げ袋は昭和の高度経済成長期に考案されました。色や形の工夫によって菓子の魅力を伝えてきた虎屋のパッケージ、およそ150点を一挙にご紹介します。 1、ゴルフボールの箱に見える? ゴルフ最中のパッケージ ゴルフボールを模したゴルフ最中は、三菱財閥総帥、岩﨑小彌太(いわさきこやた)の夫人からの注文がきっかけで大正15年(1926)に発売。パッケージも、ゴルフボールの箱のように作られました。今回は初代の箱から現在のものまで展示します。戦前はアールデコ風、戦後はシンプルな配色に直線的なデザインなど、時代に合わせ変化していった様子がわかります。 ゴルフ最中 2、南極にも旅をした、丈夫な缶詰羊羹 昭和20年代から40年代前半に販売した缶詰羊羹は、店頭販売のほか、日系人が多く住む海外にも輸出されました。さらに、丈夫で長期保存ができる缶の特性から、南極観測隊にも寄贈されました。会場では、実際に南極に旅をした缶詰羊羹を展示します。今も変わらないその姿を、どうぞご覧ください。 缶詰羊羹 3、干菓子のパッケージは夢の新素材 昭和43年(1968)発売の干菓子「推古」の箱は、当時最先端の素材として知られたプラスチック製。新しい菓子に合わせて新素材を取り入れたのでしょう。蓋のデザインには、菓子の意匠となった法隆寺(ほうりゅうじ)金堂の高欄(こうらん)の模様、「卍(まんじ)くずし」を取り入れており、ジュエリーケースを思わせるような美しさです。 4、昔も今も…… 虎の手提げ袋 虎を描いた手提げ袋は、虎屋の安永5年(1776)の雛井籠をもとに金属工芸作家の永井鐵太郎(ながいてつたろう)氏(1936~2021)がデザイン。昭和45年(1970)より使用を開始しました。黄色の虎から金色の虎に変えるなど、調整をしつつ現在に至ります。会場では、歴代の手提げ袋と、デザインのもととなった雛井籠を展示します。 手提げ袋 〈概要〉会期 2024年10月1日(火)~11月24日(日)休館日:10月6日(日)、11月6日(水)開館時間 10:00~17:00料金 入場無料場 所 虎屋 赤坂ギャラリー (とらや 赤坂店 地下1階)〒107-8401 東京都港区赤坂4-9-22 〈展示解説〉10月14日(月・祝)、10月28日(月)、11月4日(月・祝)、11月18日(月)*10:15 ~ 当日1回のみ開催(予約不要)
第81回 虎屋文庫50周年記念!「和菓子の〈はじめて〉物語」展
虎屋文庫は本年、創立50周年を迎えました。節目の年に開催する、今回の資料展のテーマは、〈はじめて〉物語。最初は「鶉焼(うずらやき)」や「腹太餅(はらぶともち)」と呼ばれていた大福。カステラや金平糖など、南蛮菓子のレシピが多かった、版本として日本初の菓子製法書。笹餅をはじめて食べた夏目漱石の意外な感想……。心躍るエピソードの数々を集めました。 1、あの菓子の〈はじめて〉 江戸時代以前に誕生した、お馴染みの菓子のルーツを探りました。羊羹は羊肉のスープ、カステラはポルトガル・スペイン由来、最中は餡が入っていない麩焼煎餅、等々。意外なはじまりの姿をお楽しみください。饅頭伝来の逸話にかかわる「御饅頭所看板(おまんじゅうどころかんばん)」や、現在の上生菓子の原形といえる上菓子(じょうがし)が載る、現存最古、元禄8年(1695)の菓子見本帳(現在の商品カタログにあたる)も必見です。 御饅頭所看板 伝鎌倉時代 元禄8年(1695)「御菓子之畫圖(おかしのえず)」 虎屋黒川家文書 2、和菓子原材料の〈はじめて〉 和菓子の原材料に欠かせない、米、小豆、砂糖、寒天にちなむ〈はじめて〉を取りあげました。たとえば、虎屋の宝永4年(1707)の菓子見本帳に、原材料として寒天の名が見えます。これは菓子に寒天を利用した最初の事例です。今回はこの菓子を再現しています。 3、菓子製法書の〈はじめて〉は? 享保3年(1718)、日本で〈はじめて〉刊行された菓子製法書『古今名物御前菓子秘伝抄(ここんめいぶつごぜんかしひでんしょう)』に注目しました。南蛮菓子(なんばんがし)*や、現在では珍しい原材料や製造道具など、見どころをご紹介します。「ひすい」「まんよう」のように変わった名前の菓子も……? 実体は会場にて。*カステラ・金平糖など、ポルトガル・スペイン伝来の菓子。 4、文豪と菓子、〈はじめて〉の出会い 文豪が綴った文章のなかに、菓子との出会いを探してみました。夏目漱石から、笹餅を送ってくれた知人への少しひねくれた礼状。最中を食べた時の感動がうかがえる、斎藤茂吉の文章など。文豪たちの菓子の描写をお楽しみください。 ほかにも、こんなコーナーが! ・菓祖神社マップ 日本の菓子の祖・田道間守(たじまもり)を祀る全国の神社をマップにしました。・煉羊羹誕生の逸話にちなむ講談を上映(講談「出世証文(しゅっせしょうもん)」より一部)今回の展示のための撮り下ろしです。講談師・神田鯉風(りふう)先生をお招きし、クライマックスの場面を上演いただきました。・虎屋文庫50周年記念のコーナー 50年のあゆみを年表で振り返ります。また、スタッフがさまざまな思いを込めて考案したお菓子を、見本帳に仕立てました。 〈概要〉会期 2023年10月1日(日)~11月23日(木・祝)開館時間 10:00~17:00料金 入場無料休館 10月6日(金)、11月6日(月)場 所 虎屋 赤坂ギャラリー (とらや 赤坂店 地下1階)〒107-8401 東京都港区赤坂4-9-22 〈展示解説〉10月9日(月・祝)、10月23日(月)、11月13日(月)、11月20日(月)*10:30 ~ 当日1回のみ開催
第81回 虎屋文庫50周年記念!「和菓子の〈はじめて〉物語」展
虎屋文庫は本年、創立50周年を迎えました。節目の年に開催する、今回の資料展のテーマは、〈はじめて〉物語。最初は「鶉焼(うずらやき)」や「腹太餅(はらぶともち)」と呼ばれていた大福。カステラや金平糖など、南蛮菓子のレシピが多かった、版本として日本初の菓子製法書。笹餅をはじめて食べた夏目漱石の意外な感想……。心躍るエピソードの数々を集めました。 1、あの菓子の〈はじめて〉 江戸時代以前に誕生した、お馴染みの菓子のルーツを探りました。羊羹は羊肉のスープ、カステラはポルトガル・スペイン由来、最中は餡が入っていない麩焼煎餅、等々。意外なはじまりの姿をお楽しみください。饅頭伝来の逸話にかかわる「御饅頭所看板(おまんじゅうどころかんばん)」や、現在の上生菓子の原形といえる上菓子(じょうがし)が載る、現存最古、元禄8年(1695)の菓子見本帳(現在の商品カタログにあたる)も必見です。 御饅頭所看板 伝鎌倉時代 元禄8年(1695)「御菓子之畫圖(おかしのえず)」 虎屋黒川家文書 2、和菓子原材料の〈はじめて〉 和菓子の原材料に欠かせない、米、小豆、砂糖、寒天にちなむ〈はじめて〉を取りあげました。たとえば、虎屋の宝永4年(1707)の菓子見本帳に、原材料として寒天の名が見えます。これは菓子に寒天を利用した最初の事例です。今回はこの菓子を再現しています。 3、菓子製法書の〈はじめて〉は? 享保3年(1718)、日本で〈はじめて〉刊行された菓子製法書『古今名物御前菓子秘伝抄(ここんめいぶつごぜんかしひでんしょう)』に注目しました。南蛮菓子(なんばんがし)*や、現在では珍しい原材料や製造道具など、見どころをご紹介します。「ひすい」「まんよう」のように変わった名前の菓子も……? 実体は会場にて。*カステラ・金平糖など、ポルトガル・スペイン伝来の菓子。 4、文豪と菓子、〈はじめて〉の出会い 文豪が綴った文章のなかに、菓子との出会いを探してみました。夏目漱石から、笹餅を送ってくれた知人への少しひねくれた礼状。最中を食べた時の感動がうかがえる、斎藤茂吉の文章など。文豪たちの菓子の描写をお楽しみください。 ほかにも、こんなコーナーが! ・菓祖神社マップ 日本の菓子の祖・田道間守(たじまもり)を祀る全国の神社をマップにしました。・煉羊羹誕生の逸話にちなむ講談を上映(講談「出世証文(しゅっせしょうもん)」より一部)今回の展示のための撮り下ろしです。講談師・神田鯉風(りふう)先生をお招きし、クライマックスの場面を上演いただきました。・虎屋文庫50周年記念のコーナー 50年のあゆみを年表で振り返ります。また、スタッフがさまざまな思いを込めて考案したお菓子を、見本帳に仕立てました。 〈概要〉会期 2023年10月1日(日)~11月23日(木・祝)開館時間 10:00~17:00料金 入場無料休館 10月6日(金)、11月6日(月)場 所 虎屋 赤坂ギャラリー (とらや 赤坂店 地下1階)〒107-8401 東京都港区赤坂4-9-22 〈展示解説〉10月9日(月・祝)、10月23日(月)、11月13日(月)、11月20日(月)*10:30 ~ 当日1回のみ開催
第80回 こんなところにも!「和菓子で楽しむ錦絵」展
祭礼で縁起物の菓子を求め、旅先の茶店では餅や饅頭でひと休み。錦絵には甘いものを楽しむ人々の姿がしばしば見られます。今回は虎屋文庫所蔵の菓子関連の錦絵から、江戸~明治時代のものを中心に約100点選び、菓子とともに展示いたします。なかには目立たぬところに描かれているものも……。会場の見どころをご紹介しましょう。 1、くらしの中の菓子 ~四季折々に親しむ~ 錦絵に、子どもたちが端午の節句に柏餅を食べるさまや、年末に大勢で餅を搗くさまが描かれているのを見ると、1年を通じ菓子が楽しまれていたことがうかがえます。多くはおなじみのものですが、かつて酉の市(とりのいち)の縁起物だった粟餅(あわもち)・黍餅(きびもち)※のように、錦絵でしか見られない菓子もあります。※現在は、山椒風味の新粉餅「切山椒(きりざんしょう)」が知られる。 「江戸名所百人美女 とりのまち」 「とりのまち」とは酉の市のこと。左下に粟餅・黍餅が描かれている。 2、病を退け 福を呼ぶ ~疱瘡(ほうそう)には赤い色が効果あり~ 江戸時代、死の病と恐れられた疱瘡(天然痘=てんねんとう)に効果があると信じられたのは、なんと赤い色。赤一色で摺った菓子袋に赤い色の干菓子を入れたものなどが見舞いの好適品とされました。袋には、病魔退散と回復を願うさまざまな意匠が……。達磨(だるま)は「病から起き上がる」。では、富士山は何を表しているのでしょうか。答えは会場にて。 3、名物菓子と菓子屋 ~桜餅がいっぱい!~ 桜の名所、隅田川の名物といえば桜餅。竹籠に入れ売られるのが定番で、錦絵でも嬉しそうに竹籠を提げる人々の姿が見られます。今回、所蔵する桜餅関連の作品を全て展示いたします。行楽気分でご覧になってみてはいかがでしょうか。 4、芝居で楽しむ ~歌舞伎役者への贈り物~ 江戸庶民最大の娯楽とされる歌舞伎。上演の際には贔屓筋(ひいきすじ)から人気役者へ井籠(せいろう=菓子を入れて運搬する容器)を贈り、芝居小屋の前に高く積む風習(積井籠)がありました。会場ではその様子をグラフィックで再現します。 5、旅でひと休み ~茶店であじわう~ 「東海道五十三次」ほか旅の情景を描いた錦絵では、旅人が街道を行き来し、茶店でおいしそうに餅や饅頭などを食べる姿を見ることができます。なかには「旅の恥はかき捨て」とばかりに少々羽目を外している人たちもいますが、甘いもので旅の疲れを癒したいと思うのは、今も昔も変わらないといえるでしょう。 「東海道名所之内 権太坂」より 東海道、権太坂(神奈川県)の茶店で、名物のきな粉のぼた餅を武士が楽しんでいる。 〈概要〉会 期 2021年9月17日(金)~11月23日(火・祝)開館時間 10:00~17:00休 館 10月6日(水)、11月6日(土)料 金...
第80回 こんなところにも!「和菓子で楽しむ錦絵」展
祭礼で縁起物の菓子を求め、旅先の茶店では餅や饅頭でひと休み。錦絵には甘いものを楽しむ人々の姿がしばしば見られます。今回は虎屋文庫所蔵の菓子関連の錦絵から、江戸~明治時代のものを中心に約100点選び、菓子とともに展示いたします。なかには目立たぬところに描かれているものも……。会場の見どころをご紹介しましょう。 1、くらしの中の菓子 ~四季折々に親しむ~ 錦絵に、子どもたちが端午の節句に柏餅を食べるさまや、年末に大勢で餅を搗くさまが描かれているのを見ると、1年を通じ菓子が楽しまれていたことがうかがえます。多くはおなじみのものですが、かつて酉の市(とりのいち)の縁起物だった粟餅(あわもち)・黍餅(きびもち)※のように、錦絵でしか見られない菓子もあります。※現在は、山椒風味の新粉餅「切山椒(きりざんしょう)」が知られる。 「江戸名所百人美女 とりのまち」 「とりのまち」とは酉の市のこと。左下に粟餅・黍餅が描かれている。 2、病を退け 福を呼ぶ ~疱瘡(ほうそう)には赤い色が効果あり~ 江戸時代、死の病と恐れられた疱瘡(天然痘=てんねんとう)に効果があると信じられたのは、なんと赤い色。赤一色で摺った菓子袋に赤い色の干菓子を入れたものなどが見舞いの好適品とされました。袋には、病魔退散と回復を願うさまざまな意匠が……。達磨(だるま)は「病から起き上がる」。では、富士山は何を表しているのでしょうか。答えは会場にて。 3、名物菓子と菓子屋 ~桜餅がいっぱい!~ 桜の名所、隅田川の名物といえば桜餅。竹籠に入れ売られるのが定番で、錦絵でも嬉しそうに竹籠を提げる人々の姿が見られます。今回、所蔵する桜餅関連の作品を全て展示いたします。行楽気分でご覧になってみてはいかがでしょうか。 4、芝居で楽しむ ~歌舞伎役者への贈り物~ 江戸庶民最大の娯楽とされる歌舞伎。上演の際には贔屓筋(ひいきすじ)から人気役者へ井籠(せいろう=菓子を入れて運搬する容器)を贈り、芝居小屋の前に高く積む風習(積井籠)がありました。会場ではその様子をグラフィックで再現します。 5、旅でひと休み ~茶店であじわう~ 「東海道五十三次」ほか旅の情景を描いた錦絵では、旅人が街道を行き来し、茶店でおいしそうに餅や饅頭などを食べる姿を見ることができます。なかには「旅の恥はかき捨て」とばかりに少々羽目を外している人たちもいますが、甘いもので旅の疲れを癒したいと思うのは、今も昔も変わらないといえるでしょう。 「東海道名所之内 権太坂」より 東海道、権太坂(神奈川県)の茶店で、名物のきな粉のぼた餅を武士が楽しんでいる。 〈概要〉会 期 2021年9月17日(金)~11月23日(火・祝)開館時間 10:00~17:00休 館 10月6日(水)、11月6日(土)料 金...
第79回 再開御礼!「虎屋文庫の羊羹・YOKAN」展
菓子資料室、虎屋文庫の4年ぶりの企画展です。今回のテーマは羊羹。長きにわたり、日本人に愛されてきたこの菓子にあらためて注目しました。300年以上前の羊羹の絵図や、パッケージ・商標を展示するほか、外国でのイベント「羊羹コレクション」など驚きの羊羹情報も盛り沢山。お好きな方だけでなく、食べたことがない方にもお楽しみいただける内容です! <概要> 第79回虎屋文庫資料展タイトル 再開御礼!「虎屋文庫の羊羹・YOKAN」展会 期 2019年11月1日(金)~12月10日(火)開館時間 10:00~17:00休 館 11月10日(日)※料 金 入場無料場 所 虎屋 赤坂ギャラリー (とらや 赤坂店 地下1階) 〒107-8401東京都港区赤坂4-9-22展示解説 毎週月曜日および11月9日(土)、11月23日(土)10:30~(予約不要) ※赤坂店に準じ、11月6日(水)開館、11月10日(日)休館とさせていただきます。 料理から菓子へ そもそも羊羹とは、中国の料理、羊肉入りの汁物のことでした。鎌倉~室町時代に中国に留学した禅僧らによって日本にもたらされ、小豆や小麦粉などを使って羊肉に見立てた精進料理の汁物となり、やがて甘い菓子に。さらに、蒸羊羹、水羊羹、煉羊羹、と菓子としての種類を増やしていきました。本展示では、各時代の羊羹を再現し、変化の歴史をわかりやすくご紹介します。 「瞑想的」な羊羹 文豪、谷崎潤一郎は『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』のなかで、羊羹を「玉(ぎょく)のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光を吸い取って夢みる如きほの明るさを啣(ふく)んでいる感じ、(中略)あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる」と評しています。会場に、谷崎の世界観を再現した空間を作りました。薄闇に置いた羊羹の美しさをご覧ください。 虎屋の歴代パッケージ大集合! おなじみの竹皮包みの羊羹をはじめ、昭和5年(1930)誕生の小形羊羹(画像左)、戦後、輸出用として作られた缶詰羊羹(画像右)、昭和40年代、最先端の素材だったプラスチックのケースなど、時代の文化、流行を映す鏡ともいえるパッケージを一挙大公開します。 ここにも羊羹 あそこにも羊羹 江戸時代の黄表紙(きびょうし、今の漫画に相当)には、羊羹を頭にのせた「かす寺(カステラ)の羊羹和尚」が登場。元祖羊羹キャラクターともいえる存在です。ほかにも、北海道や静岡県のローカルフード「羊羹パン」、「羊羹」と呼ばれるサイズのレンガなど、羊羹にまつわるオモシロ情報を集めました。 ※なお、4年ぶりの資料展開催と、虎屋文庫の書籍『ようかん』(新潮社)刊行を記念し、とらや赤坂店2階では、「虎屋文庫ブックストア」を開催し、和菓子関連書籍を販売します(10/18~12/10)。ご来場の際はぜひお立ち寄りください。...
第79回 再開御礼!「虎屋文庫の羊羹・YOKAN」展
菓子資料室、虎屋文庫の4年ぶりの企画展です。今回のテーマは羊羹。長きにわたり、日本人に愛されてきたこの菓子にあらためて注目しました。300年以上前の羊羹の絵図や、パッケージ・商標を展示するほか、外国でのイベント「羊羹コレクション」など驚きの羊羹情報も盛り沢山。お好きな方だけでなく、食べたことがない方にもお楽しみいただける内容です! <概要> 第79回虎屋文庫資料展タイトル 再開御礼!「虎屋文庫の羊羹・YOKAN」展会 期 2019年11月1日(金)~12月10日(火)開館時間 10:00~17:00休 館 11月10日(日)※料 金 入場無料場 所 虎屋 赤坂ギャラリー (とらや 赤坂店 地下1階) 〒107-8401東京都港区赤坂4-9-22展示解説 毎週月曜日および11月9日(土)、11月23日(土)10:30~(予約不要) ※赤坂店に準じ、11月6日(水)開館、11月10日(日)休館とさせていただきます。 料理から菓子へ そもそも羊羹とは、中国の料理、羊肉入りの汁物のことでした。鎌倉~室町時代に中国に留学した禅僧らによって日本にもたらされ、小豆や小麦粉などを使って羊肉に見立てた精進料理の汁物となり、やがて甘い菓子に。さらに、蒸羊羹、水羊羹、煉羊羹、と菓子としての種類を増やしていきました。本展示では、各時代の羊羹を再現し、変化の歴史をわかりやすくご紹介します。 「瞑想的」な羊羹 文豪、谷崎潤一郎は『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』のなかで、羊羹を「玉(ぎょく)のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光を吸い取って夢みる如きほの明るさを啣(ふく)んでいる感じ、(中略)あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる」と評しています。会場に、谷崎の世界観を再現した空間を作りました。薄闇に置いた羊羹の美しさをご覧ください。 虎屋の歴代パッケージ大集合! おなじみの竹皮包みの羊羹をはじめ、昭和5年(1930)誕生の小形羊羹(画像左)、戦後、輸出用として作られた缶詰羊羹(画像右)、昭和40年代、最先端の素材だったプラスチックのケースなど、時代の文化、流行を映す鏡ともいえるパッケージを一挙大公開します。 ここにも羊羹 あそこにも羊羹 江戸時代の黄表紙(きびょうし、今の漫画に相当)には、羊羹を頭にのせた「かす寺(カステラ)の羊羹和尚」が登場。元祖羊羹キャラクターともいえる存在です。ほかにも、北海道や静岡県のローカルフード「羊羹パン」、「羊羹」と呼ばれるサイズのレンガなど、羊羹にまつわるオモシロ情報を集めました。 ※なお、4年ぶりの資料展開催と、虎屋文庫の書籍『ようかん』(新潮社)刊行を記念し、とらや赤坂店2階では、「虎屋文庫ブックストア」を開催し、和菓子関連書籍を販売します(10/18~12/10)。ご来場の際はぜひお立ち寄りください。...
第78回 休館前の特別企画「虎屋文庫のお菓子な展示77」
菓子資料室・虎屋文庫は、和菓子文化の伝承と創造の一翼を担うことを目的として、昭和48年(1973)に創設され、同年より、本社ビルにて展示会を開催してきました。このたび、ビルの建て替えに伴う、約3年間のお休みを前に、大回顧展を行います。全77回のさまざまな展示を思い出の品々とともに振り返ります。 琳派の旗手・尾形光琳が注文した菓子 「歴史上の人物と和菓子」は、力を入れて取り組んできたテーマの一つです(HPで好評連載中)。展示でも、第34回(1990)、第45回(1995)、第69回(2007)と回を重ね、有名人の知られざる逸話をご紹介してきました。たとえば、「琳派」創生400年の本年、話題となっている絵師・尾形光琳の注文記録が、虎屋に残っています。光琳が後継者の中村内蔵助に贈った10種の菓子から『色木の実』と『友千鳥』を展示します。300年以上前の美の巨匠が選んだ菓子をご覧ください。 『源氏物語』の世界を和菓子で 貴公子・光源氏と彼をとりまく女性たちの恋物語として世界的に名高い『源氏物語』。第30回「源氏物語と和菓子」展(1988)では、故・片野孝志氏の料紙(※)と菓子を組み合わせて、54帖のさまざまな名場面を表現しました。数ある展示のなかでも屈指の人気を誇り、多くのお客様を魅了してきた和菓子と料紙の華麗なる競演をお楽しみください。※料紙:美しい和紙をつなぎ合わせた装飾的な紙。 森村泰昌氏によるアート和菓子 第67回「和菓子アート」展(2006)は、現代アーティストによる、和菓子に想を得た作品展という新しい切り口が反響を呼びました。菓子木型を使った和紙作品や、和菓子をかたどった木製玩具など着想のユニークさに感心されることでしょう。また、歴史上の偉人や名画のなかの人物に扮するセルフポートレイト作品で有名な森村泰昌氏のデザインによる干菓子『ことのはのあじ』も大いに注目を集めました。 幻の名店「二口屋」の井籠 第75回 お宝満載!吉田コレクション「蘇る 江戸~明治の和菓子の世界」展(2012)で展示した、和菓子研究家・吉田隆一氏所蔵の井籠(せいろう・菓子を運ぶ容器)。事前調査の際、スタッフが重箱の裏の漆塗りの下に、文字を発見!「二口屋(ふたくちや)」の井籠を塗り直したものであることがわかりました。同店は、江戸時代に虎屋とともに御所御用を勤めた名店で、幕末に当店が経営権を譲り受けたという浅からぬ縁もあります。まさに、運命の再会ともいえる一品ですね。 菓子へのこだわり お客様から「よくできたレプリカね」というお声をいただくことがありますが、基本的に展示している菓子は本物です!江戸時代の菓子を、古い史料をもとに製法を工夫しながら職人が再現したり、バターを使った洋菓子のように工場で製造ができないもの、毎日交換が必要な汁物などはスタッフが手作りすることも。おいしく見せるためのアイディアや苦労もご紹介します。 展示品 過去の展示で紹介した菓子約40点、過去の展示DM・ポスター、錦絵・版本・古文書・動画ほか。
第78回 休館前の特別企画「虎屋文庫のお菓子な展示77」
菓子資料室・虎屋文庫は、和菓子文化の伝承と創造の一翼を担うことを目的として、昭和48年(1973)に創設され、同年より、本社ビルにて展示会を開催してきました。このたび、ビルの建て替えに伴う、約3年間のお休みを前に、大回顧展を行います。全77回のさまざまな展示を思い出の品々とともに振り返ります。 琳派の旗手・尾形光琳が注文した菓子 「歴史上の人物と和菓子」は、力を入れて取り組んできたテーマの一つです(HPで好評連載中)。展示でも、第34回(1990)、第45回(1995)、第69回(2007)と回を重ね、有名人の知られざる逸話をご紹介してきました。たとえば、「琳派」創生400年の本年、話題となっている絵師・尾形光琳の注文記録が、虎屋に残っています。光琳が後継者の中村内蔵助に贈った10種の菓子から『色木の実』と『友千鳥』を展示します。300年以上前の美の巨匠が選んだ菓子をご覧ください。 『源氏物語』の世界を和菓子で 貴公子・光源氏と彼をとりまく女性たちの恋物語として世界的に名高い『源氏物語』。第30回「源氏物語と和菓子」展(1988)では、故・片野孝志氏の料紙(※)と菓子を組み合わせて、54帖のさまざまな名場面を表現しました。数ある展示のなかでも屈指の人気を誇り、多くのお客様を魅了してきた和菓子と料紙の華麗なる競演をお楽しみください。※料紙:美しい和紙をつなぎ合わせた装飾的な紙。 森村泰昌氏によるアート和菓子 第67回「和菓子アート」展(2006)は、現代アーティストによる、和菓子に想を得た作品展という新しい切り口が反響を呼びました。菓子木型を使った和紙作品や、和菓子をかたどった木製玩具など着想のユニークさに感心されることでしょう。また、歴史上の偉人や名画のなかの人物に扮するセルフポートレイト作品で有名な森村泰昌氏のデザインによる干菓子『ことのはのあじ』も大いに注目を集めました。 幻の名店「二口屋」の井籠 第75回 お宝満載!吉田コレクション「蘇る 江戸~明治の和菓子の世界」展(2012)で展示した、和菓子研究家・吉田隆一氏所蔵の井籠(せいろう・菓子を運ぶ容器)。事前調査の際、スタッフが重箱の裏の漆塗りの下に、文字を発見!「二口屋(ふたくちや)」の井籠を塗り直したものであることがわかりました。同店は、江戸時代に虎屋とともに御所御用を勤めた名店で、幕末に当店が経営権を譲り受けたという浅からぬ縁もあります。まさに、運命の再会ともいえる一品ですね。 菓子へのこだわり お客様から「よくできたレプリカね」というお声をいただくことがありますが、基本的に展示している菓子は本物です!江戸時代の菓子を、古い史料をもとに製法を工夫しながら職人が再現したり、バターを使った洋菓子のように工場で製造ができないもの、毎日交換が必要な汁物などはスタッフが手作りすることも。おいしく見せるためのアイディアや苦労もご紹介します。 展示品 過去の展示で紹介した菓子約40点、過去の展示DM・ポスター、錦絵・版本・古文書・動画ほか。
第77回 甘い対決「和菓子の東西」展
桜餅についてのアンケート結果 桜餅といえば、小麦粉生地と道明寺生地のどちらを思い浮かべますか?串団子は四つ刺し、それとも五つ刺しでしょうか。知っているようで意外に知られていない、東西の和菓子をめぐるさまざまな話題を取り上げます。両者の甘い対決をどうぞお楽しみください。 桜餅 東西対決 江戸時代、桜の名所・隅田川で名物菓子となり、京都や大阪に伝えられた桜餅。現在、東京(関東)では小麦粉生地、京阪(関西)はもち米を使った道明寺生地で主に作られます。「桜餅は関東風に限る」「いや、関西風だ」と菓子くらべに花を咲かせる方もいることでしょう。展示では、桜餅の生地についてのアンケートも実施します。皆様はどちらのタイプを食べていますか? 月見団子のかたち 月見には、お供えの団子がつきものといえるでしょう。江戸では丸い形、京阪では小芋(里芋)形のものが用意されました。中秋の名月・十五夜に芋を供えることにちなんだといわれ、現在も京都や大阪では、小芋形の月見団子が作られています。 「ぜんざい」といえば? 「ぜんざい」と聞いて何を思い浮かべますか?一般に、京阪では小豆の粒が入った汁粉、東京では餅や蒸した粟などに汁気のない餡をかけたものを指します。ちなみに京阪のぜんざいは、東京では「小倉汁粉(田舎汁粉)」と呼ばれています。 江戸時代の東西菓子くらべ 江戸時代後期の庶民の風俗を記した『守貞謾稿(もりさだまんこう)』には、江戸と京阪の菓子の比較が数多く見られます。たとえば饅頭は江戸では紙袋に入れ、京阪は竹皮で包む。甘酒は江戸では一年中売られ、京阪は夏期の夜だけ販売しているなど。現在とは一味違った東西対決をご紹介します。 このほか、くず餅と葛餅、金太郎飴と福飴、柏餅と粽(ちまき)など、作り方が違ったり、同じ行事で異なる菓子が用意されるなど、さまざまな地域差を取り上げます。 さらに! 鰻の調理方法やポリタンクの色の違いなど、菓子以外の雑学対決のコーナーも設けました。どうぞご期待ください。 展示品 小麦粉生地と道明寺生地の桜餅など、東西の違いが特徴的な菓子約40点、錦絵・版本・動画ほか。
第77回 甘い対決「和菓子の東西」展
桜餅についてのアンケート結果 桜餅といえば、小麦粉生地と道明寺生地のどちらを思い浮かべますか?串団子は四つ刺し、それとも五つ刺しでしょうか。知っているようで意外に知られていない、東西の和菓子をめぐるさまざまな話題を取り上げます。両者の甘い対決をどうぞお楽しみください。 桜餅 東西対決 江戸時代、桜の名所・隅田川で名物菓子となり、京都や大阪に伝えられた桜餅。現在、東京(関東)では小麦粉生地、京阪(関西)はもち米を使った道明寺生地で主に作られます。「桜餅は関東風に限る」「いや、関西風だ」と菓子くらべに花を咲かせる方もいることでしょう。展示では、桜餅の生地についてのアンケートも実施します。皆様はどちらのタイプを食べていますか? 月見団子のかたち 月見には、お供えの団子がつきものといえるでしょう。江戸では丸い形、京阪では小芋(里芋)形のものが用意されました。中秋の名月・十五夜に芋を供えることにちなんだといわれ、現在も京都や大阪では、小芋形の月見団子が作られています。 「ぜんざい」といえば? 「ぜんざい」と聞いて何を思い浮かべますか?一般に、京阪では小豆の粒が入った汁粉、東京では餅や蒸した粟などに汁気のない餡をかけたものを指します。ちなみに京阪のぜんざいは、東京では「小倉汁粉(田舎汁粉)」と呼ばれています。 江戸時代の東西菓子くらべ 江戸時代後期の庶民の風俗を記した『守貞謾稿(もりさだまんこう)』には、江戸と京阪の菓子の比較が数多く見られます。たとえば饅頭は江戸では紙袋に入れ、京阪は竹皮で包む。甘酒は江戸では一年中売られ、京阪は夏期の夜だけ販売しているなど。現在とは一味違った東西対決をご紹介します。 このほか、くず餅と葛餅、金太郎飴と福飴、柏餅と粽(ちまき)など、作り方が違ったり、同じ行事で異なる菓子が用意されるなど、さまざまな地域差を取り上げます。 さらに! 鰻の調理方法やポリタンクの色の違いなど、菓子以外の雑学対決のコーナーも設けました。どうぞご期待ください。 展示品 小麦粉生地と道明寺生地の桜餅など、東西の違いが特徴的な菓子約40点、錦絵・版本・動画ほか。